壺翁は仙人だった
2010/07/30(金)
∨…古代中国の「禅語」というのは、普段、なんとも思 っていないことをふいに言われて、はっと気がづく。例えば、「壺中日月長し」などと。
∨…後漢の時代、汝南の市中に薬を売る一老翁がいた。一ツの壺を店頭にかかげていた。そこの薬はよくきく。そのうえ安かったので、たいそうな売れ行きだった。
∨…薬売りの老翁は夕方になると、ひらりと壺の中に身を隠してしまうが、誰も見たものはいなかった。
∨…城の望楼から一人の役人が、この様子を見て知っていた。
∨…役人は薬売りに近づき心やすくなった。ある日、薬売りは、私について来なさいと壺の中に飛び込んだ。
∨…壺の中は別天地であった。美酒佳肴のもてなしを受けた。壺翁は仙人だった。
夕顔は、女性の行水で俳味が出る
2010/07/29(木)
∨…夕顔に女、湯あみすあからさま 子規
∨…たらいにたたえた湯で汗を流す簡単な湯浴み。庭先などでやります。
∨…行水の人、ほうふつと起ちにけり。
∨…行水の恥らひつゝも立膝す(青蓮女)というのもある。
高浜虚子は「行水の女に惚れる鴉かな」。
∨…いま時、家庭に盥(たらい)などない。
∨…行水の句は、若い女性ばかり対象である。
∨…歌麿の浮世絵に夕顔の仄かに匂っている庭で雨戸を横に立てかけ盥の湯を使う女がある。
∨…風呂沸いて夕顔の闇さだまりぬ(汀女)。源氏物語に〝夕顔の巻〟がある。晩夏の夕ぐれ垣に蔓這うこの花が大きな白い花を開く。
∨…朝顔は句になりにくいが、夕顔は、女性の行水で俳味が出る。
だましの文化である
2010/07/28(水)
∨…テレビ番組などで、ちょっと名前の出る京都の料理店に観光客が殺到する。
∨…グルメ評論家などという職業もあって、週刊誌やテレビで宣伝する。
∨…いまや、京都料理というものは、本質を放棄して、見てくれと、末端技巧のみに走る。
∨…お客は、神妙な顔をして、味がわかったのか、わからないのか、高いお金を払う。
∨…ホテルのレストランでワインを注文すると、軽くグラスに注いであじみをさせる。判ったような顔をして『これでよい』という。
∨…これは駄目だという客なんかいない。
∨…料理のテレビ番組で呼ばれた評論家が、『この味は、いまひとつですね』と言ったとすれば、二度とテレビ局は呼ばないであろう。
∨…だましの上に乗っただましの文化である。
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