売り一本勝負 六月微塵崩しだ
小豆は下げてから買えばよい。このまま行くわけではない。手亡は強く見せたところを売る。
「オリーブの落花真白に梅雨曇り 嶺花」
作付け面積四万八千ヘクタール予想で小豆相場が二万円抜けに走った。
本年の天候相場の本命はもとより小豆の買いである。
しかし、いまこの小豆を飛びつき買いするのは、なんとなく〝むせっぽい〟。
カラ売りしないまでも、安いところを待つ。
それには、手亡の取り組みがほぐれて、小豆に人気の移る場面があろうから、人気の趨勢を見守る。
山梨商事の霜村昭平氏四日大引け後の時点で『小豆は新穀をザラバで65車と定期の買い勘定になった。これは種玉である。天候が悪ければこの種玉を中心に積極強気に出るし、天候がよければこれは売りの実弾にする。今の時点では常識的だが小豆新穀買いが今年の本命と見る。いずれ手亡の人気が離散して小豆が花形になろう』。
『手亡に関しては方針不変だ。要するにサヤがないから11月限につなげない。そして10月限売りの11月限買いという人気である。これは11を売るのが怖いからだ。しかし相場は人のやる事を真似していては勝てない。私は人と逆に11月限を売る。もちろん11月限に渡す荷物の手当ては充分な自信を持っている。11のサヤが無い事から売り方は10月限に集めるだけ集めた現物を全部渡しきりにしよう。
買い方は玉をすかしているようだが、静岡筋の買い値平均は一万二千五百円前後。これを逃げるには11月限の一万五千五百円につないでトントン。果たしてつなげる値が出るだろうか。
12月限は、これは小豆も手亡も下ザヤ発会になる。今からそれは断言できる。人々は12月限手亡の下ザヤ発会を見て初めて熱に浮かされていた事を知ろう。いまは酔っぱらっているようなものだ。
思うに手亡の買い方に対し尨大なちょうちんがつきすぎた。これが致命傷だ』―。
11月限手亡はサヤ関係でピービーンズはつなげないが、北海道の新穀を集める気なら怖くない。また10月までに集中して入荷したピービーンズが国内にウズを巻けば相場市場は惨澹たる様相に陥る。
ともあれ、この手亡相場は先三本、腹を据えて売り勝負でよい。買い方総崩れが見えているのだ。
●編集部注
相場とは全く関係ないのだが、この欄を書くために過去の出来事を調べると。驚きと懐かしさに包まれる時がある。
最近カールの生産縮小で話題になった明治製菓が「きのこの山」の販売を開始したのはこの年だ。
ちなみに「たけのこの里」が販売されるのは四年後の昭和五四年である。
【昭和五十年六月五日小豆十一月限大阪二万〇七一〇円・二一〇円高/東京二万〇六二〇円・二〇〇円高】