卒倒した輸大 投げ玉はまらない
輸大相場は失神した。先に小豆が気絶し、今輸大が大暴落。業界は多事多難。投げ玉はまらず。
「坂ひとつ間違へ梅雨の狸穴に 青邨」
輸入大豆市場は、シカゴの相場が卒倒したため気絶した。東京市場は寄り付き一万枚にのぼる売り玉がS安で、はまらない。
シカゴは、このパニックが落ち着いたとしてもジリ貧だろう―と、専門筋は悲観視している。
要するに買い過ぎたという事である。山高ければ谷深しを見る思いだ。
輸大市場は買い方大手の動向が注目されている。
市場は、仕手に対してかなり寛大になっていた。それは、仕手が介在しない市場は、商いに活気が出ない。ある程度の仕手活動は黙認しなければ取引員の経営も苦しくなる。
役所も取引所も、その事をある程度配慮していたのかもしれない。
東穀事務局は、“えらい時に”“えらい相場”を出しよった―と思っているかもしれない。
輸大の買い玉は、みんな水に漬ってしまった。それでなお、買い玉の整理が進まない。
買い大手にすれば、市揚で玉がはまらなければ、売り大手(商社ヘッジ玉)と解け合いの話に持ち込まなければ、機関店も、ところによっては負担がきつくなる。過剰投機抑制という問題が再びクローズアップされることであろう。
業界は、相場波乱もさる事ながら騒然としている。オペックの原油値上げのように、来たるべきものが来ている感じだ。
さて、小豆相場のほうは、下千丁の値段は、残しているかもしれないが、だいたい、とどいている。ある程度の自律反発があってもよい時分だ―という待ちの姿勢である。
いってみれば今回の小豆は、インフレ期待買いというか、原油大幅値上げで48年当時のような投機買いを連想して、供給過剰にもかかわらず大衆が買い上げたが、人気買いよりも実勢悪のほうが、日柄の経過に伴って表面化した。
人気相場の反動とでも言うべきか。
俵の重味である。しかし、(1)玉整理が一応終り、(2)安値取組みが進み、(3)戻り売り人気が市場を支配すれば、日柄と値段の面から大底を構成する。
あと、ホクレンが種々の価絡対策など打ち出すだろうし作柄のほうも、まだ豊凶が決まったわけでない。そのようなことから、大底入れを見守るところでもある。もう一段安があって下千丁。あるかないかだ。
●編集部註
解け合い経験者が多い時の相場は解け合いにはなかなかならない。
悲観が極まった場面は往々にして反転ポイントになりやすい。