昭和の風林史(昭和五四年八月一日掲載分)

中盤戦に突入 強気強気の本道

売りたい病気にかからぬよう御用心。今月の買い玉はアンドロメダ行きのパスポートである。

「日盛や人の気もなく二尊院 泊月」

ひと息入れる場所で、産地天候が持ち直し、月末恰好の押し目となった。

S高で飛んだ窓を埋めておけば、足もとが確りできて、八月相場が戦いやすくなる。

気象予報では、八月に冷めたい空気が流れ込みやすいそうである。

開花期の低温、日照不足は、その後の作柄に大きな影響をもたらす。

そして、台風シーズン。そのあと秋が早いというコースで、少しも気をゆるせない。また、立枯病など、病虫害の不安も出ている。

お天気だとか、作柄というものは、ひとつコジレだすと、どこまでも、おかしな具合になる。
うまくいく時は、去年のように、なにもかもうまくはこぶものである。

われわれは、その年のツキが、売り方にまわっているか、買い方についているかを毎年注意深く見守る。低温が休みの日で、休日明け天気が持ち直すという売り方に味方する年もあれば、持って回わったように、ことごとく売り方にツキがない年もある。

小豆市場は、ここ三、五年というもの、昔のような天候相場を忘れてしまった。天候よりも仕手筋の動きに関心が集まった。北海道小豆よりも輸入小豆のウエイトが高かった。

従って、冷害・凶作相場の怖さを知らないセールスや投機家も多い。

そこのところが今年の小豆の盲点になると思う。「腐っても赤ダイヤ」と書いたところ、実感があったせいか、この言葉が、はやっている。

さらに言えば、作付面積が三万四千㌶(道農務部五月一日現在)と、少ない事が相場の急所である。

昭和48年以来六年続いて道農務部の数字よりも農林省(七月一日現在)の作付け予想数字が少ないことから、今年も三万四千㌶を下回わるだろうと予測されている。

これが、反収二俵を割るようだと、赤いダイヤの輝きが往年の栄光を取り戻すことであろう。

アンドロメダ行き三万六千円。そのコースを考えても、なんら不自然でないのは、人気が冷静である事。否、警戒感が強い。そして取組みは、まだまだ安値取組みである。

日柄の面からでも上昇の初期を終り、中盤戦にはいるところだ。ともあれ、心に隙をつくらず、売りたい病気にかからぬよう、心するところである。

●編集部註
 天災は忘れた頃にやって来る。政変や革命もまた天災と言えよう。

 この年イラクでサダム・フセインが大統領になったが、イランでは革命が起こった。この天災が自然災害と違うのは、燻りに燻ぶった火が、ある時一気に爆発する事。この時の小豆罫線と似ている。