昭和の風林史(昭和五四年八月二十日掲載分)

高温も峠越し 秋は駆け足で来る

今週は今までとは違った動きの小豆相場になりそうに思える。天気が崩れたらS高もあろう。

「裏口の隣り合せやちちろ鳴く 恒明」

台風10号の進路を意識している相場だった。北海道に上陸する、しないは別として台風が通り過ぎると、めっきり秋らしくなる。

産地の高温も峠を越して、もう今までのようなことはないだろう。

相場が、これといった動きのなかった前週だが、東西の取組みはジリ、ジリとふえている。

月初め六万四千枚だった総取組み(東西合計)が七万七千枚に達しようとしている。

名古屋を加えると三市場で九万二千七百枚。

今月新ポの三市場合計が七万七千二百枚だった。

この事は、先限で七千円を中心に、12月限で六千円を中心に買った人、売った人が多いという事になる。

安値で買った玉は、上昇過程で、あらかた利食いして、玉は回転し、そして高水準にきて、買い玉を拡げ、それらの玉が千円ばかり引かされたところ。

安値での売り玉は、踏むものは踏み、辛抱するものは辛抱している。

そして、あらたに高値を売った。

相場が上昇しながら取組みが増大していく場合は、その相場は、更に上昇を続けるものである。

相場が安くなりながら取組みが増大する場合、その相場の下げは終りに近づき再び上昇に転ずるものだ。

今の場合、きっかけがあれば、売りハナが買い気を呼び、発作(ほっさ)のように売りハナが、みるみるうちに大きくなる可能性を秘めている。

線型では各限とも7日の陰線と8日の寄り値のあいだに出来ている空間窓、これを買い埋める場面になれば、10限の五千円抜け。11・12限の七千円抜け。1限の八千円台疾走は、約束されたようなものかもしれない。

先限引き継ぎ線で三分の一押しが入らない。

という事は、相場が突張っているわけで、あれだけ産地の気温が上昇したにもかかわらず、崩れないという事は、この相場なにかがある。

その、なにかとはなにか。

目に見えない強力な買いの手が入っているのかもしれない。あるいは小豆の不作を小豆相場が先知しているのかもしれない。

下げる時はジリジリだが、反発する時は、ポーンと高いという動きも見逃すわけにはいかない。

●編集部註
連日の下げでさすがに筆致も揺らいでいる。

こういう時、気を持たせるように気迷い保合い相場が始まる。相場も迷うが、相場を張る側も迷う。そして迷った時は、大抵巧く終わった試しがない(個人の感想です)。