昭和の風林史(昭和五四年八月二三日掲載分)

玉整理済めば 下値に抵抗出来る

戻りは売られるが、下値は抵抗が出来る。作況も流動的である。秋の需要期控えで安傾は買われる。

「此寺は庭一盃の芭蕉哉 芭蕉」

小豆相場は投げが一巡すれば、秋の需要期控えで、下値に抵抗がついてこよう。

先限引き継ぎ線は、上げ幅(五千六百四十円)の半値押し地点である。

六月27日の安値二万二千二十円から新値足で15本。実数32本で引き継ぎ線五千六百四十円幅を上げた相場だった。

この相場が新値6本、実数12本で二千六百六十円(22日前一節大阪)を下げた。

上昇時の新値足一本当りの上げ幅は三百七十六円。下げの新値足一本当り四百四十三円になる。

上げ相場は建設、積み上げだから時間を要するが、下げは破壊みたいなもので、その速度は早い。

さて、この相場の今後を、どのように考えればよいのか。

天井打って亀裂が入ったから、どこまでも戻り売りでよい―とする割り切り方について考えると、芯(支柱)になる買い方が存在しないという事。反面、ホクレンの支配下にある相場、あるいは輸入小豆に関する圧迫要因が、相場材料として多くなってくる時期に入る。その面から見れば売り優勢となろう。

反対に、この相場は上値を残しているという見方だが、相場は決して天井していない。ただ、死んだふりをしているに過ぎず、少々先にズレ込んだだけだという考えも成り立つ。

生産者コストも上昇しているし、輸送費も高くなっている。また三万六千㌶という作付けが、果して真実性があるのだろうかという疑問も残している。

先行きの天候も、きわめて流動的だ。

安値は需要期を控えて、売れ行きもよくなる。

定期市場の内部要因が改善(高値買い玉の投げ一巡)すれば、当然値頃の抵抗がものを言う。

戻りは売られようが下値は売り警戒、むしろ、収穫期までは買われるのではなかろうか。従って下値にはカンヌキが入る。

弱気としては全値下げを期待しようが、それは作柄が余程回復しない事には無理だろう。半値地点で止まるか、それとも三分の二押しで止まるか。

小豆投機は、半玄人か玄人しか介入していない。いわゆる素人大衆は、小豆に接近していない。それだけに、煎れ投げも早い。高値の買い玉は、S安二連発で、あらかた整理されたと思う。下値固めの段階に入ったのではなかろうか。

●編集部註
まるで、サスペンス映画を見ているようである。

最近は忖度という名の〝慄き〟のせいで政治サスペンスというものが無くな ったような気がする。

折しも飯田橋のギンレイホールで24日と25日に政治映画特集がある。

チラシを見て改めて気付く。

1979年(昭和54年)は「太陽を盗んだ男」が公開された年であったという事を。