昭和の風林史(昭和五四年九月八日掲載分)

最終コーナー 意外性狙うもよし

◇…大勢売りの中の中勢買いという相場の位置づけに変わる可能性を小豆相場は示唆するかもしれない。

「いまはただ眼白の鳴ける霧の木木 秋桜子」

◇…もう一と声、千丁高くなったら男の子。

五千円が六千円。

このまますぐではなかろうが、相場が強張ると、必らず鎌入れ不足だとか、早霜懸念などの材料が、あとから追いかけてくるものだ。

◇…下から陽線三本食い込むかたちは買い線である。

秋の需要期、輸入小豆の売れ行きがよい。

値段が安ければ、今は物が売れなければおかしい時期で、売れて当然。

◇…10月限の日足線は、4日、5日の線が、いわゆる「捨子」になっている。

線一本で強弱つけるなら、6日の陽立ちは、まだ売るには早い。

◇…久しぶりで静岡筋が買ってきた。腐っても静岡筋というわけかS高する限月もあって、強気側は爽快な気分にひたった。

◇…先限の二万四千円というあたりは、たとえ売っても下値目標のない、つまらぬ売りだった。

◇…ともかく千丁でも戻してくれたらという、待ちの姿勢、折りよく五千円台乗せして、さあここから五百円も引かされる気で売っていこうと、新規が出るのである。

◇…一方、強気側は、まだこの相場死んでいない。

戻り売り人気が強いようだと二万六千円に突っかける男の子、相場の意外性を見せるかもしれないと期待するのだ。

◇…八月7日から九月4日まで1月限一代足で三千七百十円安。節足新値11本の下げだった。

三分の一戻し千二百四十円。半値戻し千八百六十円。

そのどちらも、あってよし、なくてもともと。

◇…要は、違作申し立てがあるかないか。きつい霜で被害が大きくひろがれば1月限で六千四百円、いわゆる三分の二戻しだってなしとしない。

◇…普通一般の考え方なら、今の環境から、五千円台は、少々引かされるつもりで売り上がれば、別条ないというところである。

◇…相場の意外性を信じ相場にロマンを求める人なら最終コーナーの降霜一発賭けるのも、可能性の問題である。

戻り売り人気が強いのに相場の地合が締るという現象があったり、取組みが再び漸増傾向になったり、自社玉ポジションが変化しかけたり、そのような傾向が顕著になれば、あるいは、もう一と相場残すかもしれない。その場合、大勢売りの中の中勢買いという位置づけになろう。

●編集部註
当時の日足を見ると、8月中旬に十重二十重のマドが開いている。

ロマンティストはこのマドに向けた戻りを夢想する。そこに売り方の釣り野伏せが仕掛けてある。