昭和の風林史(昭和五四年九月十一日掲載分)

大局は売りで 上値注意下値警戒

◇…五千五百円を買うようなら六千円抜けに走るのが相場だ。そのあたりは誰でも今は売りたい。

「今宵又人待心ちちろ虫  はん」

◇…立春から数えて、きょうは二百二十日目。大きな災害をもたらした台風は、二百二十日過ぎに襲来している。
明12日は新幹線が午前中運休する。線路等の定期補修工事の日である。

◇…小豆相場のほうは、東西両市場の取組みが目立って増勢を示している。

取組みが漸増しながら値段が締っていく場舎、うかつに売るのは危険である。

◇…取引員自社玉のポジションは、先限のみ買いになっている。要するに、大衆筋は、先限の安いところを叩いた格好。

◇…早々と強気に回った人と、売り場待ちの人と、高値を?んで、戻すのを期待している人と、投機家の表情は、さまざまである。

◇…一般的には、売り場待ち。戻り一杯の兆候を見つけようとしている。

二万六千円台があるかもしれないが、あったら売ってみようという、待ちの姿勢である。

◇…時期が時期だけに、降霜予報でも出れば、後場から急伸ということもあるだろう。

◇…線型は、目先買いのシグナルが出ている。

下げ幅の三分の一戻しを買い切って、半値戻しを達成しそうな地合だった。

◇…戻り売りでいいでしょう―と言う。

売り信念が貫ける人なら戻り売りでよい。

五千五百円の予定が、二万六千円を抜いて、なお強く見えるあたりで、迷いが出ると両建パッチになったりするもので、当初の信念グラグラになりやすい。

◇…目先上手しても、いけるかなと言う。上手とは気味(あじ)について買ってみようという事。

取引員会社のカウンターに張りついて、毎節相場と一緒の人なら、取りにいけるはずである。ただし、会員とは違って、手数料幅のハンディを考えておかなければならない。

◇…二万六千円を買う相場(買い切るだけの力がある相場)なら、七千円は、いくだろう。第一、煎れが出るし、その時の市場人気は様変わりしていようから、今の市場人気で判断してはならない。

◇…満を持して売るのなら、そういうところである。

◇…目下のところは、売るのは、たとえ売り上がり方針であっても、少し早いみたいだ。千丁、二千丁引かされるのは相場の常と割り切る人なら話は別だが。ともあれ二万六千円ありと見ての投機作戦だ。

●編集部註
寄り付きから大引けまで、店頭に張り付いて、毎節ごと注文を繰り返すお客様は確かにいた。

今はどうなのだろうか。

あの頃と比べると相場情報を入手する環境が違い過ぎる。店頭に張り付く人は減ったが、端末に張り付く人は増えたと思う。