昭和の風林史(昭和五十年五月二二日掲載分)

手亡売り続行 判りやすい相場

手亡相場に対し強気がふえているが、手亡相場に買いはない。売り一貫。買うなら小豆の悪目だ。

「豌豆の手枯れ竹に親すずめ 蛇笏」

北海道の天気が、どうも不順で、早くも小豆相場に思惑の手がのびてきた。

五月9日と15日、この二点を安値にしての反騰は、小豆相場の先行きを暗示しているように思う。

冷静な見方をする人は、まだ本格的でない。七千円ラインを中心にした逆張り相場―と見ているが、それでも作付け面積の減反傾向と、不順な気象を警戒して逆張りながら突っ込み買いの姿勢である。

小豆の線型としては(大阪)先限の七千七百円。これは九月限が先限時代に寄り付きでつけた急所の節(ふし)であるが、十月限が七百円を買い切ってしまうと相場が面白くなる。

先限引き継ぎ足で、(大阪)二月6日、三月10日、四月7日、五月6日―と七千五~七百円どころがなんとも抵抗が強くて、このあたりはホクレンの売りの地雷原みたいになっている。

この危険地帯を突破してしまえば十二月18日につけた安値一万六千十円。三月20日の安値六千百八十円。五月9日の安値六千二百二十円の三ツの安値が非常に安定した三本足の大底になる。

五月も中旬も過ぎ、間もなく納会を迎え、そして十一月限登場の六月は荒れるといわれる二日新ポ。

市場人気も徐々に小豆に関心を集めよう。

一方、手亡相場のほうは、これはやはり買われた地点は絶好の買い場になる。

大衆は買って買ってあの長道中の大下げに塗炭の苦しみをなめてきて、遂に五月9日の安値を投げ、投げ余した(ドテン売り)。

そういう事から相場は人気の裏が出て反発したが、千円ほどの戻しで安値を売り込んだ大衆は動揺して踏みも出ている。

だが、手亡相場は、仮りに北海道の天候が悪かろうと、大幅減反であろうと、ピービーンズという持ち下げならない豆がウズを巻く以上、手亡の相場でないという事を重ね重ね認識しておかなければならない。

手亡相場は売り一貫でよい。

六月二日新ポに登場する十一月限も、もちろん売り対象の限月である。

小豆買いの手亡売り。この投機パターンは当分続くであろう。

●編集部註
○○買いの××売りには魔力がある。

一見有効な手段に見えて、実際有効なのだが、退屈という弱点がある。

放置しておけば良いものを、無駄に動かして破綻するパターンがある。

【昭和五十年五月二一日小豆十月限大阪一万七一六〇円・一〇〇円安/東京一万七一七〇円・七〇円安】