昭和の風林史(昭和五十年六月九日掲載分)

小豆に暴落線 噴値売りに妙味

小豆は目先暴落線が出ているだけに飛びつき買いは危険。手亡は目先ある程度の反発が可能。

「五月雨や女の裾のしだらなき 静堂」
手亡相場に対する人気は弱くなったことから、目先反騰があるかもしれない。

数日来の相場環境は、およそ次のようだ。

①カネツ貿の〝提灯買い〟筋が投げた。

②静岡筋も戦線を縮小していた。

③市場の玄人筋は10月限売り、11月限買いのサヤ取り。

④大衆筋は
(イ)買っては利食い、買っては利食いで回転のきいていた筋は高値掴み。
(ロ)売って引かされていた筋は売り上がって下げを利食いして売り直したが、安値の売りと、突っ込みを売った玉がまだ生きていない。

⑤人気全般は気迷い。

⑥小豆に移動しようとしている。

⑦売り大手は買い仕手の巻き返しを警戒しながらも長期方針の構え。

そういうことから、やや人気が弱気に傾き、売り込みの感じがするだけに目先的には強力な反発がはいっても不思議でないところに来ている。

しかし、大衆的にはどこまでも売りの相場だ。

線型(9・10月限)は上げ幅の半値押し地点だけに、これからの下げには、その前に下げた幅の半値ほどを戻してもう一度人気を強くしたいところである。

行く行くは四ケタ相場の山川草木ピービーンズばかりなりになるだろうが、ここに今までとは違って、小豆相場の展開が手亡のほうにも絡むだけに相場の波動は複雑になる。

小豆は新穀相場一本に絞って、総体に買い場待ちの姿勢である。

目先としては十五日前後の気象状況にもよろうが、二万一千円台は、なんとなく〝むせっぽい〟。

六月5日の先限日足線はいうところの〝暴落線〟で4日の強烈陽線にかぶさり六日の下寄ってからの陽立ちにしても、なんとなく自然でない。

そういう暴落暗示の線型に対して地場の巧者筋が、作付け面積の大幅減反(四万八千ヘクタールから四万五、六千ヘクタール)予想と先行き天候の不順を、どうの程度価格テクニックで陽動し、人気の花を咲かせるかである。

需要不振という趨勢は改善されていないことから高値飛びつきは危険。あくまでも二万円割れあたりを買いたいところ。

●編集部註
押し目待ちに押し目は来ないのが相場である。

買えない相場が強いというも道理である。

「迷いの門から正信まではただの一瞬」とはオマル・ハイヤームの言。

「迷わず行けよ行けば分かる」とは一休宗純の言である。

【昭和五十年六月七日・休場】