昭和の風林史(昭和五四年八月一七日掲載分)

作況発表待ち 大勢は押し目買い

20日の作況発表待ちである。来週から市場は活気を取り戻すだろう。相場勝負どころにはいる。

「大文字浮べてすべる賀茂の水 孤舟」

輸大とは売るものなりと見つけたり。

近頃、そう思うようになった。

輸大市場の人気は弱いし水準も実によく下げたあとだが、下げ余地がなくて戻す。その戻りは、すかさず売られる。

まるで売られるために戻すみたいで悲しい。

輸大相場を買いで取るのは四月、五月、六月のシーズンぐらいだ。そして大相場というものは三年に一回か五年に一回である。

あとは売っておけば、期近に回わってサヤすべりしている。

輸大市場の構造は、ガリバー型の売り方(攻撃的ヘッジャー)と、小人(こびと)型の大衆投機家の慢性的下長(買い)である。

シカゴが、余程エキサイトしない限り国内の輸大相場を買っても利益することはない。まさしく輸大とは売るものなりと見つけたり―の哀しき相場だ。

小豆相場は目下産地天候次第の動きで、ひと通り、売る人は売り、買った人は買って、新たな展開待ちである。

相場の地合としては感心したものでない。

しかし、産地の天候が再び悪くなれば、嫌な地合も一変する。

それがあるから、弱気筋は慎重である。

お天気だけは、どう転ぶか判らない要素が多い。まして北の国の気象は変化が早い。

盆の休みが終って、ぼつぼつ秋の需要期控えで末端の荷動きも見られることであろうし、取引員各社の営業もダラダラと夏休みしているわけにはいかん。

20日の農水省第一回作況発表(八月一日現在)をきっかけにして市場は活気を取り戻すことであろう。

線型は、先限引き継ぎ線で、上げ幅の四分の一押し(六千二百円どころ)か、三分の一押し(五千七百円どころ)を強気側は急所の買い場と見ている。

ここのところ産地の高温が続いたが、これから先、もう、このような高温は望まれない。

気温は下がる一方だし、来月に入ると早霜の不安がつきまとう。

いまのところでは八分作という見方で、相場も七分作ないし八分作を買った―と、されている。
農水省が八月一日時点で作況を、どのように調査したか、二十日の発表が待たれるところだ。

咋年は21日の発表で作付け三万四千百㌶、作況「良」だった。

●編集部註
閑散に売りなしという。

この年の6月、東京の大豆相場の取組は7万枚近くあった。それが、この頃5万枚を切っていた。

結局この相場は8月と9月でダブル底、7~10月のなべ底で飛翔。11月に一度崩れたが、上げ基調は翌年3月まで続いた。