反発はするが 売り場待つ人多し
しばらくは輸入大豆に人気が集まりそう。小豆も目先は反発しそうだが、売り場待ちの人が多い。
「土用には強し残暑に弱かりし 恒明」
大阪はどうですかと聞かれる。東京も名古屋も、いまひとつ掴みどころのない状態の中にある。
大阪は、阪神タイガースで、イライラ病の人がふえたぐらいで、可もなく不可もない。商取業界は東京も大阪も名古屋も、皆同じテーブルについていて、お皿の数が少ないのはどこも一緒。お酒のほうも歌でもうたおうというほど浮き立たず、まあ言うならウイスキーグラスの氷が溶けて、薄くなったのを、飲むでもなし、おかわりするでもなしといったところである。
なにかこう、パーッと気の晴れる、面白い話はないですか?と、思いは皆同じようである。
商取業界が、無気力になったのは、要するに儲からないからである。
業界の将来に対する展望が掴めない。このままだとまるで〝経済界のベトナム難民〟になる。
明日をわずらう事なかれ―とは言え、なんとも空虚な昨今だ。ポオル・ベルレエヌの詩ではないが、げにわれはうらぶれてここかしこ、さだめなく、とび散らふ落葉かな―である。
これで九月の声を聞く。九月十月、なにが一番嫌かといえば、夕暮れ時のセールスの悲しみである。
この時期が、一年中で一番淋しい。
足を棒に、成績はあがらず、日は暮れて、待つはちちろ鳴く独身寮。
身にしみて、ひたぶるにうら悲しくなる。
一方、相場に打たれた投機家も、家を出て五町ばかりは用のある人のごとく歩いてみたれど―。
金策するあてはなかりき。
ところで小豆相場は誰もが売り場待ちのようだ。霜が降っても槍が降ってもワッときたところは売り。
そのワッとが、待っている時にはこない。
小豆が閑なら輸入大豆に関心が移る。相場の世界のよいところは、値さえ動けば人気が必らず寄ってくることである。
輸大相場は下値を横に這って下げ余地のないことを知らしめた。
そして円相場がジリ安をたどりだした。
売り安心の輸大だっただけに反発があっても不思議はないが、腹の底では、この輸大の戻り一杯を見つけてやろう―というのが本心でなかろうか。
小豆のほうも、目先は反発してよいところにきている。
●編集部註
実際、輸入大豆相場は9月に目先の底をつけて上昇する。
一方、シカゴ大豆はまだ低迷が続く。
何故か。
為替である。
7月下旬から8月上旬、1㌦=215円だった。
8月末から9月頭には、220円となり、10月頭に225円となり、月末には235円を超える。
11月上旬、240円を突破。
11月26日に250円74銭まで進んで、やっとここで押しが入る。