昭和の風林史(昭和五十年四月九日掲載分)

不安ない手亡 判りやすい小豆

いよいよ相場は判りやすくなってきた。手亡の押し目買い。小豆もいまの値は買って大丈夫。

「朝の雨花は一重ぞ哀れなる 鳴雪」

反落した相場をどう見るか。
1)産地からの手亡売り2)ピービーンズの輸入増勢と先に行っての圧迫懸念3)急反騰の反動という要因によるものであるがこれで手亡相場が再び崩れ落ちて行くと見るのは早計のようだ。
なぜなら1)相場的に完全な大底を構成2)大きな取り組み3)活発な市場4)若い相場5)天災期接近6)作付け減反の要因があるからだ。
相場が材料通り、理屈通りに動くものなら、誰が相場で苦労する。
相場は理外の理である。
天井した相場は、なにがどうあれ基調は底するまで軟弱なように、ひとたび大底した相場は天井するまで道中の起伏はあれど基調は上のものである。
市場の強弱を聞いていると、まるで底なしに崩れて行くみたいだが、それは一種の人気であり、弱気の希望である。
4日の大引けと7日の朝の寄り付きで相場を出しきったと見る人もあろうが目先的には、ひとつの筋かもしれないが、新値五本目の踏み上げ線。
そして上げ幅の半値押しで下の窓を埋める。出直り初期の相場は、あけた空間窓は念入りに埋めるものだ。
仮に半値押しが三分の二押しになろうと、いうなら初押しである。
初押し買うべし。これが相場の基本である。
新規買いと新規売り踏みと利食いで久しぶり手亡相場はエキサイトしたがこの押し目は再び好買い場になると思う。
現物取り扱い業者や市場のクロウト筋(特に神戸筋など)非常に弱い見方をしているが、筆者は半値ないし三分の二押しで再び反騰に転じる相場と見る。従ってここは絶好の買い場だ。
次に小豆相場であるが、今年の気象は、やはり異常である。各地の異常現象を、いちいちとりあげていたら限りがないほどである。開港以来始めて氷が張ったという漁港。はまぐりが冷たい海水を避けて浜に寄ってきたとか―。
ともかくこの小豆相場の七、八、九月限はサヤすべりということで用心されているが、ただ事でない大相場展開の秘密を内に持っているように思える。いまの押し目は、なんの迷いも無用の買い場である。

●編集部註
初押し買うべし―。確かにこれは相場の基本だ。

あとは勇気の問題だ。実はこれが一番難しい。

恐らく〝利食いたい時は逆に乗せろ〟に通じる。

【昭和五十年四月八日小豆九月限大阪一万七三七〇円・七〇円安/東京一万七三九〇円・変わらず】