戻り足が鈍い 安値割れば崩壊
手亡相場は戻りを売られる宿命下にあるようだ。先日の安値を割ってくるとナダレ現象かもしれぬ。
「のぼり鮎すぎてまた来る蕗の雨 楸邨」
山梨商事の店頭の壁に張ってある手亡の週間棒の一万円のところと一万一千円のところに丸く鉛筆で印がつけられている。
同社の霜村社長は、一万円と一万一千円の、この中間あたりの安値を考えていると思う。
『三月27日の安値から四月四日の戻り高値。この値幅仙山百円。その分を、三月27日安値地点から下に計ったあたり(一万六百円どころ)。あると思う』―と。
『ピービーンズは予想する以上に相場を圧迫するだろう。手亡先限の一万二千三百円以上の戻りは再び売っておいて判りやすい。自分は長い目で見て五月、六月ごろに最悪の相場が展開されると予測しているが、先日の下げでは大阪、名古屋で大量の売り建てを利食いした。今は手あきだから戻り場面で、もう一度売り直そうと思っている』。
霜村社長には今回いろいろな事でお世話になった。その間『相場を見ている暇が無かったので七千万円ほど違った』と笑いながら言われた時には、本当に恐縮し申し訳ないと思った。
手亡相場は止まったような格好である。
しかしこれからの戻りはもうあと千円余の下値が考えられる相場環境だとすれば、六月限が四月10日の安値(大阪一万一千八百六十円)を割ってきたところから、なだれ現象につながるかもしれぬとふと思った。
小豆はどうだろうか。手亡が安くて、小豆だけ騰げていくという、そういうことはあり得ないという前提のもとに考えれば、小豆は、すぐに大きく上昇していけないかもしれない。
だからと言って、手亡の下げに同調することもないだろう。少し軟化するという程度だろう。
北海道小豆の先限引き継ぎ線を見ると、一万七千円のところ売り。一万六千円のところ買い。相場はこの千円の横にした帯のなかでジグザグしている。
この千円幅の中での動きを、もちあいと見るなら、もちあいが長ければ長いほど、放れた時の相場は大きいという経験から、それを楽しみに将来を考えるところであろう。
14日の月曜は選挙の開票速報に人々は気をとられて、もうひとつ相場に関心が寄らなかった。
●編集部注
実際この保合い上放れ場面は強烈な動きになる。
【昭和五十年四月十四日小豆九月限大阪一万七三八〇円・変わらず/東京一万七三二〇円・六〇円安】