昭和の風林史(昭和五十年四月十七日掲載分)

小豆も弱気だ 納会にかけ低落

手亡は崩れ落ちる運命。小豆も今月納会は悪い。黒い五月を前にして小豆軟化。手亡低落だ。

「山寺の金箔くらし夕さくら 飄亭」

気の付かれている人も多いと思うが、小豆相場のケイ線が少しずつ変化している。
それは小豆相場が変化していると言ってよいだろう。

どう変化しているかというと、天底は放れて寄った寄り付き値。騰げ続けたあと夜放れして陰線引け。これの見本は昨年七月26日の一万九千八百四十円(大阪)夜放れ高の寄り付き→陰線引けだ。

近いところでは四月七7日の七千七百円(大阪)の夜放れ高寄り→陰線引けが戻り頭になっているし、この逆が三月20日の六千百八十円(大阪)夜放れ安寄り→強烈陽線引け。この線が下げ相場の底をした。

少し前では二月6日の七千六百三十円夜放れ寄りからの陰線引けが頭だし、昨年十二月18日の六千十円夜放れ寄り→陽線引け値が底をしている。

小豆ケイ線の天底が昔と違ってきているということは小豆相場そのものが変化していることで、これは、だいぶ前から言われているが、本当なら、買い乗せていく急所が逆に買い玉利食い、ドテン売り場になる。反対に、本当なら売りあびせの叩き場が、買い玉利食いの仕込み場になっている。

なぜ、こういうふうに変化しているのだろうか。

大きく見てもちあい相場だから。

小豆の取り組みが薄いからだ。

大衆不在。クロウトばかりの場だから、手が早い。

燃えない。冷静。上下とも値段に限界があるため。

いろいろ考えられるがやはり小豆相場は大衆不在。クロウトばかりの相場になっているためだと思う。

真剣の勝負でも芝居やテレビでやっているようなものでなく、瞬間だという。剣客と、そうでない人との闘いは自ら違うだろうし、西部劇などに出てくるガン・マンの早打ちにしてもガンのプロは抜く手も見せぬ一発である。

小豆相場も大衆が参加して熱狂している時とプロばかりの相場とは、やはり値の動きからして違ってくる。

大取り組みの手亡相場と、動き方が違うところを味わってみたい。

小豆は安いだろう。時間がかかる。手亡も弱いだろう。一万一千円を割る。

●編集部注
 相場の怖い所は直近の相場パターンが必ずしも通用しないという点だ。

 決め打ちは火傷する。

【昭和五十年四月十六日小豆九月限大阪一万七三一〇円・一〇円安/東京一万七二八〇円・七〇円安】