昭和の風林史(昭和五八年一月二八日掲載分)

輸大・棒立ち前夜の鳴動?

小豆は売り。ストトンと落ちるだろう。輸大は叩き屋が宙に舞う秒読み段階。

小豆の57年度下期輸入枠二七〇万㌦が発表された(発券17日頃)。

すでにこの数字は言われていたから織り込みである。

小豆はここにきて人気が強い。自己玉を見ても判るように取引員ポジションは買いになっている。

常識的強気は先二本の二万八千円台乗せを予測し、狂信的強気は二万八千七百円から九千円を期待し、アジテーター的強気は三万円を叫ぶけれど、そのような相場に成長していくには、エネルギーが足りない。

遅ければ二月新ポ、早ければ週末から月末にかけて、強気にさせた分をストトンと消す。あっけない相場になりそうだ。

確かに相場の姿(線型)としては颯爽、水もしたたるような若武者ぶりだが、これにだまされる。

人々が強くなるほどに売り上がっていけば千円以上の逆落としを苦もなく手にすることができよう。

輸入大豆は変な場癖がついて一文上下で売りハナ、買いハナ睨みあって出来申さずになる。

手数料の三文抜けが計算にあるためか。それとも売り屋は腹一杯売ってハナ落としができない。買い屋も今一ツ打たれた疲労が抜けていない。新規の大衆玉は店の懐で食いあう。

三市場十七万三千八百枚の取り組み。

年初来一万八千枚の増加。

これが無気味だ。まして名古屋М社のお客みたいに、銭の持って行き場がないから45枚ぐらいなら受けてみるべえーと、バナナでも買う気やすさで素人が受ける。

このような人が、50枚カイ、50枚カイと、朝鮮動乱当時の人民義友軍もどきの人海戦術で市場参入だから、ヘッジャーが投機家に食われる前夜の様相だ。

ヘッジャーといっても、オーバー・ヘッジの叩き屋だからすぐ舞い上がろう。

●編集部註
 これに関しては以前も触れたが、その昔、平成の真ん中ごろあたりまではその日の取引が丸見えであった。
 前場〇節にどの会社がどの銘柄を何枚買ったか売ったかが、翌日には全て印刷されて公開される。 当日も取引の様子は生中継され「協栄〇〇枚カイィ、豊〇〇枚ウリィ…」と独特の抑揚のついた声が各店のフロアに鳴り響く。お客さんから「場を通してくれ」という電話があり、ヤリカイを実況中継。それを聞き、お客さんの「○○枚買い」の一声で営業マンが「○○枚買い!」と叫ぶ―。
 何とも言えない格好良さが昔の取引にはあった。