昭和の風林史(昭和五八年五月十三日掲載分)

小豆は順調予定のコース

きょう精糖がS高ならこれを売ったら取れる。小豆はズンズン高くなる前兆である。

輸入大豆はパニックだ。

シカゴ期近は五㌦90を取りに行きたいトレンドから離れない。

向こうも投機筋がPIKで高値買い付いて、この買い玉整理が強要されている。

天候のほうは時ならぬ降雪などあって気がかりだが、それは取り組み内部要因が玉整理を終わってから相場に利いてくる材料で、いまは聞く耳もたない。

穀取相場は先限(大阪)三千八百円。期近三千四百円あたりは考えておかなければならない。

売り玉の利食い戻しや値頃観で買ったあとは、基調下降のトレンドにまた乗って下げる相場だ。

一ツの物差しとして東西二市場の輸大自己玉売り合計が一万八千枚ぐらいまで減らない限り、この相場は出直れない。

ということになるから戻れば売りの片道切符だ。

小豆は大阪当限の買い目立つ店が投げてしまえば随分風通しがよくなる。

人気面は産地天気好調も重なって早や豊作人気のベタ弱気だ。これは玄人中の玄人ほど弱い。古品30万俵余る。11月必着新穀二万九千円割れのザラバ売り。

とにかく弱気を論ずる材料に事欠かない。

しかし相場は下がらない。いま買っている人達は千丁下げても投げない人である。否むしろ買いさがる根性とストーリーを持っている。投げなければ弱気の売りで下げても下値は知れている事を知っている。

ある弱気の人が、なぜ強気するのかその理論を聞きたいと言ってきた。

理論なんかない。ただ言えるのは曲がり屋に向かえと相場は相場に聞けである。

理くつをこねれば最近の出来高と取り組みの、かすかな変調である。

ゴムは10円戻す力が出るかどうかのところである。精糖は13日S高なら絶好の売り場になろう。

●編集部註
 コミュニティ内での常識が、存外コミュニティ外の非常識であったというケースは少なくない。
 その昔、弊社で発行していた月刊誌に掲載していた「短期売買100の法則」を増補改訂版としてこの度電子書籍化するにあたり、再度読み返していて痛切に感じる。
 特に今回のシカゴ大豆のような海外市場は時として相場そのものの世界が一変する事があり、この時、頭を切り替えず過去の動きに拘泥すると、たちまち死んでしまう。