昭和の風林史(昭和五八年五月二十三日掲載分)

輸大買い方苦しき事のみ

小豆期近は投げ残りの投げ。輸大売りのまま。砂糖、ゴム一段安となろう。

精糖は海外の砂糖需給を見ているぶんには大局的に強気しなければならないが、国内定期の内部要因は大出来高煎れ一巡だけに15円ほどの下げが入っても不思議でない。

海外にしても日本の高値買いが刺激になってカラ売り玉の買い戻し即ち踏み上げて、人気相場の第一ラウンドを終わっている。

相応の下げを入れたあと、再び実勢を反映した波動に乗ろうが、当面は国内定期のトレンドは判りやすい戻り売りの中にある。

ゴムは40円のところでダムが流水をせき止めている格好だったが、これが決壊して三百20~30円のあたりまで投げが出て、もとよりそのあたり売り方の利食いで止まるだろう。

そのあとはどうなのかはその時の情勢見てから。

トレンドで言えば神戸当限60円を割ると50円割れまでが早くなるし六月限も40円を割るコース。

小豆が当限暴落。投げ残りの玉の投げであると共に先三本売り玉の支援という格好。産地の農作業もお天気回復で心配ないというところか。

しかし、先のほうの限月は値段にとどいている。

これだけ人気が真っ暗闇になった以上、天候相場に大きな期待が持てよう。

買い玉は投げるよりも買い難平で食い下がるところ。日柄も下げ十分だ。

今のところ芯になる買い方も、買い材料もないが、陰きわまりて陽発すという相場最強の環境ができつつあるから迷うことはない。

輸入大豆は買い方の現物は軽くなったが(製油転売)苦しい戦いだ。いわば肉を斬らせて骨を断つ特攻戦術に天が味方するか。

シカゴは一発ドスンと下げそう。円安が味方していても、新たに中豆の成約が進展しそうだ。まだ当分、輸大の買い方は苦しきことのみ多かりき。

●編集部註
 世情も、相場も、一度せき止めていたものが崩れて、一方向に流れが集中する事がある。ここ最近の白金にせよ、少し前の株式相場にせよ、幾度となく相場師たちは経験しているので、何らかの耐性は出来ている。
 一方SNSの発達で、昨今は世間の感情の崩落が顕著になった気がしている。社会学者の宮台真司はこれを「感情の劣化」と表現している。