輸入大豆の七月相場強烈
小豆作況は悪化するばかりだ。北海道大豆もやられる。輸大相場七月破竹の勢い。
小豆についてあれこれ書くこともない。煎れる玉は多けれど、利食いする玉が出ない。
今回の相場と似ている昭和55年の八月中旬から後半にかけて、産地天候崩れによる小豆棒立ちは八月14・15・18・19・20・21・22・23・25日とストップ高をつけている。当時六〇〇円のS高を八〇〇円S高に制限値幅をスライドで拡大しているから、売り玉はたまったものでなかった。
当時の状況は今回と実によく似て(1)仕手不在。(2)玄人筋の売り。(3)取り組み薄。さらにその他の条件もまったく似ている。
その事については月曜付け三面で書いてみよう。
早々と輸入大豆に怒濤がきた。
北海道の大豆が駄目になれば中国大豆に値打ちが出るし、アメリカの天候だって大干ばつの可能性濃い。
国際的にも食用油脂の相場が殺気をはらんでいる。これはマレーシアのパームが干ばつにやられたり、気象に関するトラブルが多発しているからである。
穀取輸大は七月に入れば破竹の勢いで上昇するだろう。いや、もう、半分駈けだした。
大阪10限の四千円がどうにも割れなかったことを見て、言われるべき悪材料のすべてを相場は織り込んだことを知らしめた。
安値売り込みの取り組みに火がつき、これでシカゴがS高でもやれば小豆の隣の黒板(輸大)までS高赤色大出来高となる。
とりあえずトレンドからいえば七月輸大は五千円タッチである。
相場の怖さというものは大底を打ったものは、時期さえくれば天井打つまで上昇トレンドの中を行く。
まして安値取り組みの時間が長かっただけに五月の高値、四月の高値を買い切ると、強弱御無用の境地に入るだろう。
●編集部註
先週、増補改訂版となって電子書籍で復活した中原駿氏の「短期売買100の法則」は、もともと弊社が発行していた月刊誌「商品先物市場」に連載していたものだ。
連載時、中原氏はトレーダの〝取引にかかる時間〟の長短によって同じ人間でも全く人種が違うといった旨の論考を載せていた。
そこへ来て、今回の風林節である。「相場の怖さというものは大底を打 ったものは、時期さえくれば天井打つまで上昇トレンドの中を行く」。
この〝時間〟が曲者。先物取引、特に限月に敏感な穀物市場で、長期的な視点を養うというのは存外難しい。長期トレンドが強気の時、短期視点で売買を繰り返そうとすると悲劇が生まれる。
「絶えず頭は柔らかく」と、知己ある相場師が何度も筆者に繰り返していた事を思い出す。