昭和の風林史(昭和五八年七月二一日掲載分)

今年の秋はとりわけ早い

土用過ぎれば秋風吹くという。今年の秋はとりわけ早いようだ。小豆まだ五合目。

『土用の入り六日の内に丑(うし)の日あれば秋風早く立つ故、作悪しきなり』(本間宗久伝)。

今年は五日目(24日)が土用の丑。

『(土用に)入る日より五日目雨降れば見た目よくとも取り実不足なり。三日目雨あるを土用三郎という。この年(相場)高下著じるし』(同)。

20日が土用の入り。帯広週間天気予報では21日と24日雨。気温23日までやや低め―とある。

小豆の弱気は中間地帯の反収120㎏(二俵)をいうが、とてもそんな数字は出ない。一枚か二枚、ほかとは違って非常によい畑もあるが、去年だって反収六俵という場所があったのだから、中間地帯で70㎏収穫の畑が今年一枚や二枚あってもおかしくない。

問題は二等検が幾ら穫れるかである。

北海道全収穫50万俵と見て二等検三割なら(頭が)15万俵しかないわけだ。

昭和39年は反収48㎏だった。31年56㎏。29年が50㎏。(大正二年26㎏)。

農家の話では39年より悪いという。

昭和39年の相場は七月1日・六九九〇円。そして八月八千円。九月九千円。十月19日一〇五九〇円と大暴騰した。結局この相場は、次の年の四月一二五五〇円で上値制限。あと立会停止になるのだ。

さてホクレンなどの売り崩し作戦が失敗して、これが四千円カイ?(先限)とくれば、修羅八荒の生き地獄になる。だから売り方も息を殺している。

いずれは四千円カイ、五千円吹き抜けの場面がくるのだが、相場はタイミング。時間がくれば勝手に走りだすものだ。

そして本当に怖いのは来月に入ってからの四万円に向かって暴走する場面である。その時は大幅臨増しという規制が初めて出る。

●編集部註
 何事も、お天道さまにはかなわない。
 奇しくもこの頃の悪天候と今現在の悪天候が重なっている。米国では洪水等で作付けが遅れ、それが原因でシカゴ相場が高騰している。
 折しもこの頃、山陰地方では集中豪雨が発生。119人の死者を出した。 50%を割り込んだ稀に見る低投票率を叩き出した参議院選挙があった頃、九州福岡は筑後地方で集中豪雨が発生。一部地域では一時間で110ミリ、24時間で335ミリ降ったのだという。これは、平年の1カ月分を上回る雨量だとか。
 作物被害やら何やらでとても投票どころではなかった事だろう。