昭和の風林史(昭和五八年十月二十七日掲載分)

輸大も小豆も下げの時代

小豆は先々と売っておけば意外に大きい。輸大も値頃観で買うから下が深くなる。

小豆は当限落ちる前に大穀の取り組みは三万枚を割った。

東穀も当限落ちで二万枚を割る細った取り組み、そして薄商いの各節。

証拠金の高い小豆なんか、お客さんは敬遠しますよ―とセールスも今の小豆に関心がないけれど、やはり小豆には根強い小豆マニアがいる。

一年12カ月のうち、二カ月(七、八月)強気して、あとの10カ月は売りっぱなし。それで判りやすい。

やれ入船遅れ、それ中国は積極的に売らない。輸入枠は、多くない―等々。それは強弱であり材料である。

相場で銭を儲けることと材料の強弱垂れるのは、これはまったく別の次元である。それさえ判れば、(1)に流れ(トレンド)、(2)に人気(取り組みと出来高)、(3)に日柄、(4)需給。これを見ていけば、需給相場なるが故に大きな間違いはないはず。

見渡して強弱の世界は皆強気である。だから楽しみなのだ。

来月は三万円割っていくアッという下げが展開する。

輸大のほうも先限四千七百五十円がある流れ。

シカゴは売り支配下の相場で八㌦割るために戻す。

相場というものは、その時、その時の流れの中で、戻すから強いのではなく、次の下げをつくるために戻すことがある。今のそれは八㌦を深く割るための下工作みたいなもの。

去年の11月の輸大相場は中豆圧迫で東京四千四百円から三千九百六十円に下げ、12月に入ってさらに崩れて正月10日三千五百十円。

今年も似たような波動であろう。居所が千円上というだけで投機家にとっては居所よりも値幅が問題。

買い玉整理は六割ほど進んだが、また値頃観で買うから、この相場駄目だ。売りっぱなしでよい。

●編集部註
 根強い小豆マニア―。
 頭の柔らかい相場巧者からそう揶揄されても致し方ないのかも知れないが、ここはあえて〝マニア〟の側を擁護してみたい。
 全員ではないだろうが、彼らは〝それ〟しか知らないのである。
 その昔、筆者が外務員試験に合格して現場に配属されるまでの間、毎日毎日で大きな罫線用紙に何か一銘柄を選択して日足を書くよう指示された。 この時筆者は金を選択。以降ずっと罫線を手書きで書くようになった。その結果、相場を金目線で考えるようになっている。
 昔読んだチャートの教科書に、ひたすらパイオニア【6773】だけを取引する「パイオニ家」という投資家が登場する。商いがあるのなら、そういう生き方があっても良いのだと思う。あくまで、商いがあればの話だが。