昭和の風林史(昭和五八年十月二十九日掲載分)

輸大は目先応分の反発が

小豆は期近限月の煎れ先行型。先二本の二千円台売り。輸大は目先応分の反発どころ。

小豆は当限落ちで東西の取り組み合計は四万七千二百余枚。七月の上旬が三万八千九百枚の取り組みで八月上旬五万九千枚までふえた。

その後五万三千~六千枚で推移してきたが、天災期の人気相場終焉とともに玉整理期に入った。

期近限月は煎れ先行で11限は七月、八月の天井値指呼に噴いた。

現物が読めているから仕手がかった動きにはいれば売り玉に歩はない。

まして東西とも自己玉11月限は圧倒的な買いだから煎れ尽くすまでは緩むまい。

輸入枠が九五〇万㌦あたりということも買い方に元気をつけた。

産地相場も凶作確認の動きで、相場バイオリズムは新甫、二日あたりまで強気支配が尾を引きそうだ。

われわれは、二、三月限、新甫の四月限の買われたあたり、盛りのよいところを売る方針。

二、三月限の二千二百円、三百円は、前々からほしい値段であった。

地合いがそのあたりまでくると買いたい人気に包まれるだろう。満を持して売っていくのがよい。

輸入大豆のほうは下値を残しているが、期近限月など高値から小千丁も崩しただけに、ひとまず値頃の抵抗を受けるところだ。

シカゴも七㌦台の相場展開を前にして、やはり八㌦の抵抗ラインにある。

高値掴みの穀取輸大の大衆玉は、ほぼ整理されたようだ。

従って、いずれ先限の四千五、六百円は時間をかけて取りに行くだろうが、当面は応分の反発があってもよいところにきている。

輸大の上げ方もきつかったが、やはり天井三日であった。

流れとしては大局下げ道中のなかの自律戻しがあるべき段階。しばらくは輸大を弱気しないほうがよい。

●編集部註
 今回の記述は、囲碁・将棋の世界でいう感想戦のような趣がある。そこには、買い方や売り方の心理とその心理がもたらす値動き、更にはその動きがもたらす次の展開が綴られ、実に興味深い。
 このように勝負を振り返る文化はエンターテイメントとなり得る。囲碁や将棋の様に実際のプレイヤーが振り返るだけでなく、例えば「江夏の21球」の様にノンフィクション作家による取材でつまびらかになるケースもある。
 ドキュメンタリー仕立てでフィクションの世界でも登場する。「レイジング・ブル」はその代表作であろうか。相場の世界だと「マネー・ショート」も原作とは違うアプローチで面白い。エンドロール直前に出る一文がこの作品の肝である。