薄紙はがす如く輸大回復
大豆は薄紙はがすように用心深く出直る姿。一気の上昇は無理だが、押さば買え。
東京銀は下げても、上げても商い弾む。取り組みも千枚、千枚と日毎厚くなる。
相場が下がっているのに取り組みが増加する時は、引き続き下げが進む勢いがある―と見るべきだ。というのがアメリカ式チャートの見方である。
その式でいけば、東京銀は生れ値66円50銭→高値81円90銭の上げ幅に対して半値押し地点74円20銭から以下の三分の二押し地点71円60銭あたりまでの圏内があるかもしれない。
しかし、銀相場に取り組むための第一条=証拠金にゆとりを持って、資金配分せよ。第二条=相場に入る(仕掛ける)値段を決め、相場から離れる(利食い、または損切り)値段を設定し厳守せよ。第三条=大局方針を決めよ。
などの点からいえば、金銀比較倍率から見ても1対40ラインは銀の売られすぎだし、100円目標という大局銀のもと、凧の糸と相場の資金は出しきりにするな―で、74円、あるいは73円台は難平買い増し地点になるだろう。
市場別の取り組みの厚さからいえば一位東穀中国産大豆。二位東京粗糖。三位大穀輸大。四位東京銀の順である。
お金儲けは人の集まるところにあり。相場も人気の集まるものを狙えという。
大豆はシカゴ八㌦指呼の間まで勝利のV字型サインで安値から二㌦を戻した。これがこの勢いで上昇することはなかろうが東穀米産大豆の85年二月限四千円割れは、いかにも安い。
また各穀取とも今の長期限月水準は円高分を売られたものの、シカゴの出直り幅に比較して随分遅れをとった感じがする。
中国大豆入船順調を気にしながらも、綺麗なWボトムは大豆のシーズン接近中を物語るものである。押さば買えという表情だった。
●編集部註
当時、穀物相場に資金が集まっていた要因の一つに、穀物も含めた世界の食糧事情に世間の耳目が集まっていたという点が挙げられる。
70年代のオイルショックは廻り回ってアフリカの政治的混乱とそれに関連する飢饉をもたらした。そしてこの年の3月、エチオピアでの惨状が世界中に報道される。
ミュージシャンのボブ・ゲルドフは、英国でこの報道を英国で見ていた。何とか出来ないものかと仲間内と相談。英国とアイルランドのロック及びポップススター達でバンド・エイドを結成。12月にチャリティ曲「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」を発表する。
この動きはその後米国に飛び火し、85年にUSA・フォー・アフリカが結成される運びとなる。