上期枠の“震度”は如何に
期近から巻き返すのが強気側の常套手段。1俵30㎏建の魅力を発揮すれば万々歳だが…。
日米農産物問題は、牛肉、オレンジ、そしてガットの場に持ち込まれた十三品目を含め、山村農水大臣の訪米(4月2日が有力)、閣僚レベル交渉一挙に“政治決着”に向かうことになりそうだ。
どういう結論になるか判らないが、わが業界の雑豆自由化騒動に、ひとまずピリオド、交渉に関連しての59年度上期の輸入枠に関心が集まるところ。
その輸入枠だが、これまで流布された千二百万~千三百万㌦から、かなり上積みされそうな“感触”である。
一部で憶測する千九百万㌦ではないにしても、千五百万㌦を下らない線ということなら、いまの相場の居所と照らし合わせて震度五(強震)ぐらいのショックは覚悟すべきであろう。
『そんなことより、4月にどれだけの荷が集まるのですか。パラワンの二千㌧も、そのうち新穀はまして通関遅れとなれば、売り方さん、一体どうするのでしょうね』の声に怯えたか、相場の方は期近中心に週末急伸。
四月二日新ポの九月限から一俵=30㎏建、証拠金の低い魅力と、半値になる“デノミ効果”を期待するなら、ひとまずは買われる場面が先に出て、それからシノギを削る主導権争いに…というところか。
要は無理している側はどちらか―である。
それさえ察知できれば、今年の作付け動向、天候をにらみながらの青写真ができあがるというもの。四月限の次は、どういうわけか五月を飛ばして六月限が怖いという。それほどのエネルギーが、いまの小豆に残されているのだろうか。まずは九月限の生まれが焦点。
●編集部註
今回の文章にもあった「シノギを削る―」という言い回しを見て気付いた。世の中には刀に関係する言葉が結構多い。
「切羽詰まる」「自腹を切る」「付け焼き刃」「焼きが回る」「焼きを入れる」「太刀打ちが出来ない」「鍔競り合い」「相槌を打つ」「とんちんかん」「なまくら」「抜き打ち」等々…。銀座や渋谷の目抜き通りは、刀の柄の「目貫」に由来している。調べれば調べるほど面白い。
前に述べたかも知れないが、冒頭登場するガットは「関税と貿易に関する一般協定」の英語表記の頭文字を合わせたもの(GATT)。昔は教科書に書いてあったので覚えていたのだが、今はどうだろう。WTOになっているのだろうか。
確かこの頃、この問題について日曜8時に久米宏が「TVスクランブル」という番組で面白おかしく解説していた記憶がある。もっとも、この番組で注目されていたのは、生放送中にも関わらず、隣で暴れ回っていた横山やすしであった。