昔の味について(代筆)

風林翁、本日お休みです。翁に倣い、僭越ながら今日は食べ物の話でもいたしましょう…。

風林翁曰く「チャーシューは薄く切るべし」。

立川談志曰く「とんかつは薄いのに限る」。

厚い豚肉に火を通す事は至難の業だ。絶妙な火加減を要する。

得てして、豚は火が強すぎると旨い脂の部分が焦げ、肉汁も飛び、中身がパサパサになる。

弱すぎると、逆に生焼けだ。豚の生焼けほど、始末に困るものはない。

手間隙かければ、無論厚い豚肉も悪くないが、昼飯時に客も店も悠長にしてはいられない。

確か、談志が懇意にしていた洋食屋は浅草の「大木」だったと思う。

外壁をチョンと押せば全てが崩れるような、古い造りの店だった。所謂「昔の味」を出す店。

今も、まだあるのだろうか。フリスビーの如きとんかつであった。

そういえば肉の薄さを尊ぶ食通がもう一人いた。池波正太郎である。

彼は、薄くスライスした豚バラ肉のとんかつを好んで作らせたという。

その数枚は、その日に食べず、たっぷりウスターソースをかけ冷蔵庫に放り込んでしまう。

翌朝、そのソースカツを、炊き立てのご飯の上にのせて食べたという。

炊き立てでなければならない。白く固まった油脂が、アツアツのご飯の上で溶け、これにパン粉にしみしみのウスターソースが絡み合う。

相場については、NYダウの線形が日、週、月足ともに悪すぎる。

目先は戻るだろう。しかし一万三六六一㌦を超え切れなければ、それはたまゆらの上げとなる。

ダウの大下げが始まると、真っ先に資金捻出に売られるのは金だ。

リーマンショックの時もそうであった。