何に驚く陰陽師(日刊版2月18日付)

頭悪き日やげんげ田に牛暴れ 西東三鬼

“げんげ”という呼び名よりも、“蓮華草”といった方が一般的かもしれない。

化学肥料が広く世に出回るまでは、田畑の周りにはれんげの畑が広がっていた。緑肥といって、これが肥料になる。

耕運機のなかった時代、田畑を耕す牛の姿が見られた。蓮華草は、牛の飼料にもなった。

春になると、紅紫の花が咲く。その蜜を求めて蜜蜂が飛ぶ。その蜂を集めて蜂蜜が出来る。

生々流転である。

さて、いろんなものが急落している。

ここまで騰げた相場に対して、少々押しが入ったからといって、びくつくものではない。

相場は一本調子に上がることもなければ、下げ続けることもない。

押し目待ちに押し目なしで、買えずにいた投資家が、ここに来て買いついた。

買いついたところで振り落とし。もう一丁下がると、我慢できずに両建て。安い売り玉と、高い買い玉で長パッチ。

両建てした途端に反発して、売り玉を切れずに、買い玉を手放す。

あれよあれよと相場が上がり、残った売り玉を切れずに、また買いを入れる。

今週の売り玉は、来週には水に漬かろう。

押し目買いを待っていた投資家は、押しがきつくて買いの手が出ない。何に驚く陰陽師。

相場世界、恐怖と楽観の狭間で、人間心理が揺らぐ。

今週、きつい押しが入った市場は、目を瞑って買うべし。