2013年4月14日(日曜日)Activist Postより
Assault On Gold Update(金はいま、狙い撃ちされているところ)
Paul Craig Roberts(ポール・クレイグ・ロバーツ)
その3
さて、当局はショートカバーできる現物を所有しているだろうか?筆者にもそれは判らない。ただしかし、情勢を把握しているディーラー達が疑念を持っている事は確かだ。その要因として、例えば2001年12月の272㌦から2011年の1900㌦にかけての金上昇を阻むために米国の金保有が売却に充てられたという話がある。これに関して彼らは、最近ドイツが米国に出した米国に預託中の自国の金準備返還要求の一件を指摘する。これに対して米国が出した回答は、7年かけて小分けに返還していくというもの。もし、米国が金をちゃんと保管しているのであれば、何故ドイツに耳をそろえて返還しないのか?というのだ。
明確な含意は、米国が金を供給できないという事である。
先ほど登場いただいたアンドリュー•マグワイア氏は、このカラ売りによる安値出現により、海外中銀、とりわけ中国(人民銀行)が金現物を買い漁っているとも伝えている。もし、海外中銀がこのバーゲン価格で金現物を購入するために保有しているドルを手放した場合、結果的にドルの交換価値への圧力と金現物の市場供給の低下を招く事になりかねない。言い換えれば、米国の量的緩和策からドルを守る試みが、かえってドルの終焉を早める結果になりかねないという事になる。
恐らく、FRBは間近に迫るドル危機、あるいはそれに派生した金融的な爆発を恐れ、トラブルに発展する前に金/ドル価格をリセットしようと試みたのだろう。疫風が吹く事が予想されたとき、FRBは恐らく、危機に際して、取引でより良いポジションをとるように感じたのだろう。たとえ、金相場が安値に向かい、資金の逃避先としての金の信用が揺らいでいったとしても。
明らかに金価格を引き下げることを意図した空売りのほかに、証券会社を皮切りに、その後ゴールドマンサックスから「ヘッジファンドや機関投資家らが自身の金の買いポジションを売りにかけるかもしれない」と、4月初めあたりから事前に(金の下げが)大掛かりに組織立った動きが示されていた。これらの発表の目的は、お上(the big boys)がやらかす前に、個々の投資家にむけて金投資から引き上げるよう奨励する事であった。ただ、雑魚投資家達がヘッジファンドやウォール街の連中よりも高い値位置で金相場から逃げ出す事が出来るように、彼らが前もって「私達はこれから金を売りまっせ」と発表しようなどと、いったい何処の誰が信じるというのか?
仮にこの事前情報が大掛かりに組織立った動きでなかったものでなかったのだとすれば、連中は何がしたかったのだろう?
軒並みこれらは、金及び銀相場の価格抑制を目的とした大掛かりな犯行であった。そしてこれは、ドルという通貨の信用力が強固なものになっていない限り、当局でも制御不可能に陥るようなトラブルが醸成されているという事に対して、その当局自体が怯えているという兆候である、と私は読んでいる。そうでなければ、大量の金カラ売りや金売りの大掛かりな事前情報流布の目的は何だというのであろうか?
ポール・クレイグ・ロバーツ*(Institute For Political Economy)
*元財務次官補にしてウォールストリートジャーナル副編集長