5月6日付 メリマンコラム 《回顧と展望》その1
先週の米国株式市場は山ほどの弱気シグナルと共に始まった。4月30日(火曜)にS&Pは史上最高値を更新し、ナスダック総合は2008年来の高値水準へと登り詰めた。だがNYダウは、4月11日(重要変化日4月9日前後3営業日の範疇)につけた史上最高値14,887を超えることは出来ず。翌5月1日にはダウは急激に — 138ポイント — 下落し、また世界の他の市場も同様に下がったことから、一般に“異市場間弱気ダイバージェンス”と呼ばれる明確なチャートパターンが出現した。4月30日のS&Pとナスダックにみられた新高値への反騰は、3惑星(順に金星、太陽、火星)がパーティクラッシャー【註:空気を読まずその場を台無しにする存在と考えると丁度いい】として知られる土星に対しオポジション(180度)を形成していく4月22日~5月1日という時間帯の終わり近くに起きている。さて本来なら、ジオコスミックスとテクニカルサインがこのように合致した場合、少なくとも4%程度の下落が始まるシグナルとなっていたはずだ。
しかしながら、今はノーマルな時間帯でなければ、相場もノーマルではない。
大幅下落のあった5月1日の大引け近く、またもや我らがビッグ・ベン(バーナンキFRB議長の事)が声を発した。かなり長期間、少なくとも米失業率が6.5%に減少するまでは、短期金利は0%近くに留まるだろうと話した。市場はこの再保証の言葉を好感して活気付き — 彼がこの呪文を唱える度にいつもそうなるのだが — ダウ平均はその翌日、前日失った138ポイントの内130ポイントを回復した。ところがそんなものは、翌金曜日の市場を覆い尽くした高揚感と比べれば何でもなかった。金曜朝に発表された4月の雇用統計で失業率は7.5%に落ちており、これは数年ぶりの低失業率だったのだ。また非農業部門雇用者数の数字も事前予想より良好で、前月値をかなり上回った。この予想を上回る発表を受けて、ダウ平均は史上初めて15,000を超えるまで反騰した。S&Pもまた始まって以来の1600以上で取引された。先週は米国株式市場と世界のいくつかの指数にとっては歴史的な週となった。