開戦前夜(日刊版05月23日付)

到来物の桜桃をいただいた。色艶の良い佐藤錦。さくらんぼではなく、桜桃と呼びたい風格がある。

茎右往左往菓子器のさくらんぼ    虚子。

神は、細部に宿るという。見逃しがちな茎の向きまでも俳句にする。その視点が素晴らしい。

右や左や上や下。今の相場も、器に盛られた桜桃の茎のようだ。

それは為替や商品が、雌雄を決する時間帯に入っている兆しなのか。目下、戻りを凝視してタイミングを計る時間帯。

ドル円相場の大きな流れは大幅な円安。

ただ二月以降、月中に向けて高く、月末安の周期。102円が、目下の関が原、とはまでは行かぬが、三方ヶ原あたりか。

織田・徳川軍敗走も、武田軍は、家康を討ち取るまでは行かなかった。

102円台への下抜けは、一時的な急落を招こうとも、二~三円の調整で終わろう。

一方で、103円処のマド埋めは手がつけられない相場となる。

あれよあれよと105円台致し方なし。既に徳川の時代に入っている。

為替が動かぬ中、商品市場は白金5000円、ゴム300円、ガソリン75000円。
越えそうで、越えられぬは碓氷峠。

それぞれ、四月底入れからの反撃も、円安援護射撃なくば、力強さに欠く。峠を越えれば、為替関係なく、火柱立つ相場になる。

金は、NY市場の1400㌦が重い。超えれば、追撃買いの体制が整うのだが、それまでの間は、試し玉で探りを入れて、ダメなら即撤退。

さすがの甲斐勢も、川中島で睨み合うしかない。

今は、力貯めて、天下分け目の大いくさに備える時間帯だ。