そういえば桜桃忌(日刊版06月19日付)

金相場が面白くない。買いを入れるお日柄には、いささか早いのか。節目の夏至が、近付いている。

他郷にてのびし髭剃る桜桃忌  修司。

今から104年前の六月十九日、太宰治は、津軽に生まれている。

そして、今から六十五年前の六月十三日、彼は東京の玉川上水に、愛人と一緒に飛び込んだ。

亡骸が発見されたのが、その六日後の六月十九日。以来、この日は彼の作品にちなんで「桜桃忌」と呼ばれている。

デカダンで、軟弱な印象を、もたれがちな作家なのかもしれない。

しかし『お伽草紙』を未読の方は、ぜひ一読されたい。「かちかち山」などは、作品自体が鋭利な刃物で出来ている。

それはさておき、相場は如何でしょう。

何に反応するまでもなく、今の金相場は「顔なし」相場である。

四月以降の弱保合いはペナント型に発展。そのうち、宗久翁言うところの〝六月崩し〟か。

夏至あたりで、ドカッと下げきると、強弱がつけやすくなり、人気面でも、回復の期待が持てるのだが…。

夏至の雨山ほととぎす聴き暮らし(虚子)。

金相場は、当面、小幅逆張り。戻り売りを主とした方法がよい。
特に、強く見えたところは売りであるが、戻りを待つ間もなく、気崩れ型に入るかもしれないと思っている。

ゴムも、白金も、五月の高値から、崩れてしまった相場に。買う気力も失せて夏しぐれ。それとも、芭蕉の五月雨をあつめて早し最上川。

子規は「さみだれや上野の山も見飽きたり」と詠んだ。

国内商品は、底打つまで待とうホトトギス-か。