昭和の風林史(昭和四六年九月三日掲載分)

急落があれば 再び買い場なり

目標値段にとどいた。目先の頭になろう。千円押しか。押し目は買いで次は八千八百円目標。

「鮎落ちて綿虫淵にあそぶなり 秋桜子」

予測はされていたが急な冷え込みで十勝地方に九月二日朝、初霜が降りた。昨年より12日も早い。この全道的な低温で、道庁調べ九月一日現在六分作の小豆が、さらに被害を受けたことは確かである。

平年にくらべて一カ月も早い秋のおとずれである。

札幌市場がストップ高に寄り付いた。東京市場も制限値幅一杯に踏み上げた。

商いは東穀一節で八千四百九十一枚。大阪市場も四千四百八十九枚。

前日(一日)東京市場では近藤紡の十月限売りを山梨と解けて、取り組みが減った。この日も三晶が踏んで山梨がこれに玉を合わせた。

買い方は利食い。売り方は踏み。熱気の中で玉がほぐれていく。

ここで、この相場をどう見るか。

作柄は半作以下になるだろう。その限りでは基調は強い。だが、しかし、相場に半作を織り込めばそれ以上のものではない。

踏みが出たからストップ高をした。踏みのきっかけは早霜である。ひと場で八千枚の出来高は、エネルギーの燃焼の激しかったことを物語る。この場合の出来高は〝燃えがら〟である。蓄積されていたエネルギーが爆発して燃焼すればロケットも下降してくる。ここは物理的に考えればよい。

一応の目標値段(現時点での)にも達した。角度85度天地七百円幅の斜線帯から相場は突き抜けて、行きすぎている。相場に行きすぎはつきもの。だから二日の高値は目先の頭になってもおかしくない。またストップ高という現象一ツ見ても充分警戒すべきところである。

さて、千円ほどの下げが入るのではなかろうか。飛んで飛んで、また飛んで空間窓のケイ線は、足場を固めなおす必要があるし、一巡半作織り込んで取り組み急減ならば反動的に下げてよい。

その下げで、また人々が売り込めば今までと同じことになるだろう。買いさがるのも手である。目先巧者なら軽く売って、素早い利食いも可能である。だが本心から弱気になってはならない。ここで安ければ次は先限の八千八百円相場につながるからである。

●編集部注

差し詰め、たわけになりて〝小豆買うべし〟の商況となってきた。

天候や作況で動く「生産地相場」の、まさに真骨頂というべき場面だ。

【昭和四六年九月二日小豆二月限大阪一万七八五〇円六九〇円高/東京一万七八九〇円七〇〇円高】