昭和の風林史(昭和四六年九月二八日掲載分)

暴走また暴騰 小豆も手亡も!!

月末の降霜は非常に確実性が高くなった。しかも落葉病がきついと聞く小豆も手亡も爆走型。

「鳴く虫をあらはに見つゝ栗拾ふ 秋桜子」

この原稿と、もう一、二本を書きあげたら帯広に行ってこようと思う。
ちょうど、その時分には霜が降りるだろう。

朝の気温が六度とか九度とかいっても当地ではピンと来ないが、冬の下着など持参しなければ、ふるえあがるだろう。

相場のほうは小豆が再び強い力で上伸しだした。

これで霜に見舞われたら被害は必ず大きいし17・18日の高値を抜く場面も考えられる。

一部には、昨年同様落葉病が発生していると聞く。どういう商状なのか、それも見てきたい。

ともかく相場は荒い動きであるが、上のものである。

問題は手亡のほうであるが、九千円割れの手亡なら買っておいて心配はあるまい。ここにきて手亡は十万俵ほど、収穫減になりそうだと伝えられるし、月末から来月上旬の降霜で、かなりの被害が出ることは確かである。

市場の一般人気はあたかも小豆、手亡の作柄が回復したかのように言われているが、単なるそれは気分であって、現実は、むしろ悪い方へ向かっているようだ。

当限納会でも、市中の渡るべき品物が、ほとんど渡され、これが買い方の手の中にはいった。

手亡にしろ、小豆にしろその線型は申し分ない押し目を構成し、買い安心の姿である。

とは申せ、小豆など新規玉を受け付けないところもあるようで、取引員の小豆相場に対する警戒心は非常に強い。

市場管理の面では、一部に〝私情管理委員会〟によるマヤカシの規制など行われたが、悪事はすぐに露見するもので、天は邪悪に味方しない。
総じていえば、市場管理の面は、七十点ぐらいの点数は付けられるのではなかろうか。

さて当限納会も無事終わり、注目の十月戦である。十月限には、まだ近藤紡の大量の売り玉があってこれの踏みが注目されている。九月納会で、現物のほとんどを買い方に握られた以上は、売り方としても十月戦はつらいところだ。

しかも、絶対確実に降霜被害が出ると思われる現在、小豆の押したところは買っておかなければならない。

手亡も投機対象物件として、再び人気化する傾向にあるため、押し目は買いでよい。

●編集部注
べらぼうな相場は、そのべらぼうさゆえに、簡単には終わらない。

この時の風林火山、頗る口は汚いが、相場を観る目は澄み渡る美しさ。そうでなければ、隣の日足から「押し目は買い」とはなかなか言えない。

皆が動けぬから値が動くともいえるのだが…。

【昭和四六年九月二七日小豆二月限大阪二万〇〇八〇円・五八〇円高/東京一万九九七〇円・四〇〇円高】