真実は強し!! 小豆、手亡爆騰
鎌入れ大不足。出回り遅れ。品質極悪。小豆も手亡も再び爆騰するのであった。
「紅葉せり林中の径を人踏まず 秋桜子」
世の中にはいろいろなことを言う人が多い。
たとえば筆者が帯広を回ったことについて、業界では『帯広の鈴木氏が増山氏を助ける意味で風林を利用した。逆にホクレンは日経紙を利用して相場を叩こうとしている。単協やホクレンは安値一万六千円どころを売り契約しているし、相場を叩いて生産者から安く引き出そうとしている。産地の売り方は、時事のファックスもフルに利用しているようだ』―と。
しかし、真実は強い。あたかも九月一日現在農林省調べの六十一万俵予想から二十万俵ないし三十万俵も増加しているような市場人気であるが、筆者は六十一万俵時点から十五万俵は減少して、四十六万俵収穫と見る。
相場は交易会の契約状況を眺めようとしているが、中共としても相場を崩すような売り方は、過去の例を見てもするまい。商売にかけては実に巧妙な中国である。
一方、末端の現物の売れ行きは、需要最盛期にはいって、好調そのものである。
これで、鎌入れ不足、出回り遅れが表面化してくれば、いよいよ二万円大台の奪回は必至である。
ともかく大阪・阿波座筋も必至になって相場を売り崩そうとしているけれど、それは、まさに流れに逆らうものであって、必ずそのとがめが出ることであろう。
一般人気としては、霜がなかったから相場は売りだ―と単純に考えているようだが、雨が降れば降ったで腐敗してくるし、それは手亡など特にそうで、品質低下は間違いない。
また落葉病による立ち枯れの状況は、内地での想像を絶するもので、この真相が昨年のように伝わってこないという理由も、産地筋が安値をレールで売り契約したことなどもあり、下げ賛成であるからだ。
ともかく小豆にしろ手亡にしろ相場は十月一日を大底として十一月、十二月と、出回り期が端境期現象となって高騰することは必至である。
線型も一万八千円いかの値段に用なしという格好である。
小豆の当面の目標二万三千円。手亡九千五百円。
●編集部注
魑魅魍魎、跳梁跋扈の相場界では、価格のみが相場の対峙者には唯一無二にして神聖な存在だ。
いろいろと無責任に囃し立てられたのであろう。しかし、価格は満を持して飛翔していくかの如し。
その一方で「豊作に売りなし凶作に買いなし」という相場格言も存在するという事を、この後、我々は知らされる。
世に伝わる「十月相場は荒れる」を具現化した動きがこれから始まる。
【昭和四六年十月五日小豆三月限大阪五〇〇円高/東京五九〇円】