昭和の風林史(昭和四六年十月十四日掲載分)

大きな逆張り 八千円台は買い

小豆の一万九千五百円以下は買い下がり二万五百円以上の噴き値は軽く売ってゆく逆張りの相場。

「秋寒やいくさきざきは人の家 一茶」

今の小豆相場は噴き値売り、突っ込み買いの大きな逆張りの圏内にあて、高いところは買い方が逃げるし、安いところは手のよい筋が買い拾う。売り方の玉が逃げられるまでにはまだまだ値段が遠い。

韓国小豆の輸入契約が進んでいるようだ。交易会でもかなりのものが契約されているだろう。北海道ものも少ないとはいいながら出回ってくる。

その限りでは涸れていた消費地にも潤いができる。それが人気面にどう反映するかだ。これは興味深いところである。

とは申せ今すぐ一万八千円を割って一万六千円、五千円と大きく崩れてゆく相場でもない。

それは農林省の最終収穫発表の十二月まで、かりに中共小豆の大量契約ができたとしても年間需要を考えた場合、油断はできないからで、相場がそのような大下げ(一万七千円以下)にはいるとすれば来年二、三月ごろからであろう。

逆に北海道小豆の出回りガ三十五万俵などということにでもなれば、暮れから一月、二月にかけて二万五千円の相場もないとはいえない。

従ってここでは一万九千五百円以下は八千五百円を想定して、むしろ買い下がりがよいし、二万五百円以上は二万千円を考えて売るのもよい。

どちらかといえば交易会などの材料で叩き込まれた安場は成り行き買いになろうというもの。

二万円の水準なら一割動いて二千円幅、一万八千円買いの二万二千円売りとなる。上下三割にむかえの大局方針からいっても一万四千円買いの二万六千円売りである。

証拠金が一枚十八万円。こんなに証拠金が高くては手がでないという人が多いけれど、相場さえ動けば月二割や三割には回すことができる。

さて手亡の方だが、これはなんともやりにくい相場である。手亡にはへんな癖があって、それを知っている玄人でもつい振り回されてしまう。

今は高値に因果玉がぶら下がっているし、現物面も不安がない。といって下げようのない動きである。下値にも売り玉が随分残されているからだ。

従ってこの相場も逆張りである。八千円以下は買い八千八百円以上は売りである。

●編集部注
その昔、バナナは高価な果物であったというが、どれ位高かったのだろう。

昭和四十年にバナナは1キロ二六〇円。四六年当時で一六五円。ただ、この時JRの最低区間料金は三十円、タクシー初乗り料金で一三〇円だ。

一枚十八万円の証拠金の威力や、如何ばかりか。

【昭和四六年十月十三日小豆三月限大阪四二〇円安/東京四五〇円安】