昭和の風林史(昭和四六年十一月十七日掲載分)

虎視たんたん 売り方機を狙う

一応利食い先行場面だが、戻せばまた悪くなること必至。売り玉堅持の方針。

天候相場から交易会相場へと移って、その交易会もほぼ山が見えたと思っていた途端の第三次成約であったため、量は僅か千㌧前後、俵数にして一万六千俵ほどでしかないのに、きついショック安であった。

先限はかねて弱気が唱えていた一万四千円台をのぞいたし、五千円あたりは突っ込み売り警戒や利食い急ぎ人気もでて当然のところ。売り方の手じまいもやや活発である。

一方、契約された小豆も年内にはほとんど入ってこないので、成約だけですぐに当面の需給のバランスが崩れることはない。現物新物は依然定期より千五~七百円の高値を維持している。

目先的には戻り売り基調から中先限五千五百円中心で強気、弱気相対峙して次のチャンスを窺う様相ともみえる。

さて、次の大きなチャンスといえば、やはり十二月中旬発表予定の農林省の最終推定実収高ということになるだろう。

去年は約百二十万俵と予想されていたのが、八万俵減の百十二万俵と発表されたため翌日はストップ高となった。

百十二万俵といえば平年並みではあったが、前年が凶作で繰り越し皆無の状態であっただけに、これがそもそもの導火線となって今年の大相場が展開された。

今年も農林省の九月一日現在の収穫予想・六十一万俵をめぐっていろいろと取り沙汰されている。十万俵ふえるとか、八十万俵はとれているとか諸説紛々であるが、結局はフタを明けて見ないと判らない。

もし七十万俵以上となればさらに値ごろの水準以下は免れないだろう。

というのはカケコミの第三次商談で成約量自体は少なかったにせよ、とにかく中国の売り意向が確実になったこと。この値段ならまだまだ売るものがあることがはっきりした以上、収穫の十万俵違いでも充分にこたえるだろう。

期近の利の乗っている玉は利食いもよい。しかし先三本は多少の戻りがあっても動ずる必要はない。むしろ戻ったハナを軽く売ってさえおけば取れる相場だ。

二万千円での実質的解け合いから僅か四十日あまり。買い方、売り方攻守所をかえ売り方の進撃一段と強まろうとしている。

●編集部注
江戸には、富士塚というものが存在した。

山岳信仰の一種で、富士山を拝むため、もしくは富士山の代用として造った築山の事である。

この時のチャートをご覧いただきたい。

立派な富士塚が出来上がっている。

【昭和四六年十一月十 六日小豆四月限大阪二〇円高/東京一一〇円高】