昭和の風林史(昭和四六年十一月二十九日掲載分)

ぶっ叩き場面 S安も可能なり

暴落型である。ぶっ叩いて千丁下げか。ストップ安の一発くらい御祝儀であるかもしれない。

「手賀沼の澄む日をかさね石蕗咲きぬ 秋桜子」

小豆相場は強気がふえている。大阪市場では丸五商事の買い建て急増と、丸神の目立っていた売り建てが、見る見るはずされ、阿波座筋も、やや踏み(煎れ)気配というところで増山氏の玉が脇田から大阪市場にも出るようになった。

ところで、目先的に筆者はこの相場、先限の一万五千六、七百円あたりすなわち、千六百六十円上げに対しての半値押しがはいるように思う。
強気筋は三分の一押しで人気を弱くし、それから一万七千四百円の窓を埋めに年末相場の展開を考えているようだが、どうもそれは無理だ。

もとより大勢的には強気方針である。十一月の17日に大底が出来ている相場だ。

材料としては台湾小豆と韓国小豆が合計七千㌧ほど契約されて、年内入荷の可能性ありということである。納会で強気筋の手に市中の現物が握られてしまっただけに品薄(浮動玉薄)はまぬがれず深い崩れは考えられない。

だが、前週末金曜・土曜の相場の味は、週明けの夜放れ安、あるいは叩き込みを充分に予測させるものがあった。

12・1月限にしても、その線型は非常に重い。週間棒は戻り一杯しており、半週棒は暴落線。日足は二日続いての崩れ暗示型で、しかも注目されることはフシ足が大阪全限売り線に転換した。

大勢は強気であるが筆者は嫌な予感がする。

ひょっとするとストップ含みの千丁下げにもなりかねないところだ。

買い方は、そんな馬鹿な―と、安心しているようだが、ぶっ叩いて叩ききれない相場ではないし、なにか嫌な材料が週明け飛び出しそうなにおいもする。

まあいい。ここで崩れることにより下値を固めるだろうし、下の空間窓が埋まれば、年末の大上昇場面も期待できる。

ともあれ、月末から新ポにかけて、ぶっ叩かれて、あるいはストップ安の一発ぐらいご祝儀ではいれば、いよいよ面白くなるだろう。

●編集部注

罫線読みは、線形に将来の相場の形を夢見る。

それが幻想なのか、現実なのかは分からない。分かるのは後から。それを信じて相場を張る世界。

曲がれば切るだけの話。「そんなはずはない」と思ってしまうと、それは罫線に淫する事になる。

昭和四六年十一月二七日の東京小豆は上ヒゲ陰線。これに同年同月初めのマドと、同年同月九日の上ヒゲ陽線に、逆三尊の線形を夢想する。

ネックラインを引いて、超えれば買い、超えない間は売るという寸法だ。

【昭和四六年十一月二七日小豆四月限大阪一万〇六九〇円・二〇円安/東京一万六二六〇円・一三〇円安】