昭和の風林史(昭和四六年十二月四日掲載分)

暮高の幕明け 弱人気に逆行す

これからは下値を考えなくてもよい。小豆相場の地合いは急速に硬化しよう。年末高の幕が…。

小豆相場の地合いは再び硬化しつつある。安値を叩く愚はこれまで幾度も指摘した通りで人気につられての執拗な売りは必ずトガメられよう。

なるほどざっと見渡したところ、韓国小豆の契約は小口ながら相次いでいるし、台湾小豆もこれから契約が進む―。いや、すでに千五百㌧成約(十二~一、一~二月積み、FOBトン当たり三八〇㌦)がいわれる。

またことしの台湾は豊作で、対日輸出余力は当初予想の五千㌧を軽く上回る―と。三~四月はいわずとしれた交易会で契約された中国小豆のラッシュ時期。大勢は大天井打ち確認の相場。高値での消費減退―とまあこれだけでも〝うんざり〟するのに、買い仕手一派の後退説がもっともらしく噂される。

しかし、相場はそういう事情に構うことなく例年のパターンを歩もうとしている。すなわち、出盛り安は出しての年末→一月高コースである。

過去数年のパターンを見ておくのも少しは参考になろう。
底値 天井
40年 10月中旬 1月下旬
41年 10月初旬 1月下旬
42年 12月中旬 4月下旬
43年 12月初旬 4月末
44年 11月初め 2月中旬
45年 10月下旬 1月初め

さて、ことしはどうか。およそ察しがつくことは、年内は下値に用がないということだ。少なくとも11月下旬のあの安値は底値のメドとなる。よしんばわずかでも下回ることがあれば強烈な反騰の約束手形をもらったも同然である。

将来の大下げはあるかもしれないし、ないかも知れない。が、それは先にいっての話で、いまは反騰期が切迫している相場にぴったりと照準を定めるのが妥当というものであろう。

すでに当来のサヤは何と二千五百円からの開きとなっている。買い仕手が無理して期近を支えているのか、はたまた先限が輸入物圧迫を見越して売り込まれすぎているのか、そのへんの詮索はさておくとしても、出盛り期を感じさせない年末の需給である。

この時期においては逆ザヤ売るべからず―の教えは立派に生きているといえる。案外在庫発表が反騰の口火を切るきっかけになることも予想される。

●編集部注

レイモンド・メリマン氏による『相場サイクルの基本』では80%以上の確率で示現するものがサイクルとして有効という。

小豆には2年サイクルがあり、底は奇数年、天井は偶数年につける事が多い―と、昔記事にした事がある。また月足からは、18年サイクルの存在も確認する事が出来る。

【昭和四六年十二月三日小豆五月限大阪八〇円高/東京二〇円高】