昭和の風林史(昭和四六年十二月六日掲載分)

信念を持て!! 相場は爆発高だ

今度はストップ高の番だ。爆発高を秘めている。二番底確認。線型は、のびのびしている。

「人波の流れやまぬに暦売 風生」

東京・人形町、水天宮あたりの商店街は注連(しめ)縄が飾られ、年の暮れの風景である。業界を回っても話題は、もっぱら名穀事件であった。全商連の蛎崎氏は『弱っちゃったよ』―と、本当に困った顔で、東繊取の村井専務も『嫌になってしまう。ニューギニアあたりの島に行って静かに暮らしたい』と疲労の色が濃かった。三木全商連会長は『全商連として、その組織で出来ることは各理事長に綱紀を粛正するよう要望するしかない』という。

蛎崎氏『どうだい全国二十の取引所の星取表でも投資日報はつくってみるか。こう見渡して絶対の二重丸は大阪三品の平野氏だろう』
『函館海産物と福井人絹も白丸でしょう』
『ああそうだな』
『東繊取は灰色がかった白丸ですか』
村井氏『うちは白の二重丸さ』
蛎崎氏『改善命令つき白丸だよ』
『神戸生糸は、もちろん白丸ですね。三木理事長は絶対的白の二重丸の確信を持っているから』
『まっ黒はどうだい?』
『西田理事長お墨付きの大穀と、十指の指さす豊橋乾繭あたり横綱だろう』
『身の危険を感じて国外逃亡か?、東南アジア行きのあのグループは』
『あれは随分前から予定していたようです』

ところで小豆相場のほうは二日の後場二節、山大の杉山元帥のところに寄ったら『おれは機嫌がよくないんだ』という。相場が安いからである。増山氏もでたらめなデマを売り方に飛ばされて面白くないからゴルフに行ってしまった。山梨の霜村氏はカンカンの強気。

相場は二番底が入った格好である。元帥の機嫌も必ずよくなるだろう。

逆ザヤに売りなしの相場だ。週末、大阪に帰ってケイ線を引いてみたら、6日月曜の後場あたりストップ高の可能性がある足取りだった。

さあ行こう。強気で。

爆騰が見えている。

●編集部注
カム・トゥゲザー・ライト・ナウ・オーバー・ミーという感じか。

もうこの時、ビートルズは解散しているが、強気で臨む若き相場〝士〟達は、この文を読んで、脳内にこの曲が流れた事は想像に難くない。
ジョン・レノンは71年10月にアルバム『イマジン』を発表している。

母にその頃の話を聞くと、ジョンが奇妙な人達のせいでおかしくなったと思ったらしい。この時、ジョンの隣に終始くっついている奇妙な日本人女性が、まさか安田善次郎の曾孫だとは想像もつかなかったろう。

【昭和四六年十二月四日小豆五月限大阪一万五七五〇円・二八〇円高/東京一万五七七〇円・一六〇円高】