昭和の風林史(昭和四六年十二月九日掲載分)

押し目買い!! 棹尾の一振が…

地合い軟化に伴い急激に弱気がふえた。歓迎すべきことである。棹尾の一振を期待。

出回り遅れを実証するかのように十月の小豆移出検査高は極端に少なかった。五万二千俵と昨年のほぼ三分の一である。
年内の出回りは四~五割といわれるが、いまだに〝俵の重み〟を感じさせないあたり、四割もおぼつかない。

もっとも楯の半面で出回り遅れ、すなわち、年が明けて持ち越した荷が圧迫する―の理屈も成り立つので、それほど大層に考える必要はない。
足りなければ足りないまま何とかなるもので、相場の方もひと相場終わってしまえば〝理窟と膏薬はどこへでもつく〟の類で、材料なんてのは往々にしてつけ足しになりがちである。

年内は余日もないが別に深く考える必要もないところだ。

安ければ買う。

それだけのことだ。買い方もこのまま突っ張り通せば相場はほっておいても上にいく。

それを中国小豆の年内入船予定がどうで、渡しに間に合うのは―、そして荷動きがどうのこうの、あげくのはてには来年の三~四月は輸入ラッシュだからと飛躍する。

来年のことを言えば鬼が笑うというものだ。

来年のことは無事、大納会を終えホッとひと息いれたのちじっくり検討すればよいことで、いまは下げようのない相場を強気することに専念すればよい。

間違っても流言蛮語に惑わされたりしないことだ。

相場もここでジンワリと地合いを弱いふうにみせれば、てきめん売りの効果があとに出よう。

棹尾の一振なる語があるが、そのお膳立てはととのってきている。

まだ見もしない中国小豆の新穀のつなぎが怖いのなら、相場を張るときがない。

強気でいくところだ。

下手に出て頼む態度をみせれば図に乗ってわがままいうのが人情の常。
いうところの「雇えば乞食も冷飯食わぬ」―である。

すでに大底が入り二番底(ダメ押し)もいれた。たとい垂れ込んできても五百円押しさえむずかしい、アヤ押しにとどまるはずだ。

弱気の多くなったのは歓迎すべき現象である。

●編集部注

 大納会に向けて、含み損の解消売りが一巡したり、大口の化粧買いなどから相場が上がるとされるアノマリー「棹尾の一振」は、はたして小豆相場に適用されるのか?

 実際に調べてみた。

 大納会に向けて上がるなら、月足で12月は陽線になっている筈。そこで、過去42年分の12月相場の陰陽を数えてみる。
 
陽線は19本、陰線は23本で、確率的には残念な結果となっていた。

【昭和四六年十二月八日小豆五月限大阪三〇〇円安/東京二六〇円安】