昭和の風林史(昭和四六年十二月十一日掲載分)

急反騰は可能 強気方針不変!!

先三本は叩いても叩けない水準にきている。期近限月も、あと三百円の下値があるかどうかだ。

「拭きこみし柱の艶や年忘 万太郎」

期近限月から力の抜けたような動きをした。輸入物が間に合うだろうということで今月、間に合わなければ一月限にぶっつけられるというわけだ。

また今月は受け手がないだろうという。受け手がなければ暴落である。

ケイ線では当限の七千三百円は止まる急所で、このあたりなら強力な買い玉が介入しよう。

一月限も六千三百円のマドを埋めれば急反騰に転じる格好である。

三、四、五の先三本は逆ザヤに売りなしの相場と見ておけばよろしい。

どんなに売り材料が出現しても、一万五千円どころは抵抗力があるから売り叩けば叩くほど反発力をつけることになる。

問題は17日の農林省の発表数字であるが、売り方も、買い方も秘策を尽くして探りを入れている。それによると、やはり少ない数字で、五等検込みの一本の数字で発表せず、二ツにわけるらしいということだ。

ここにきて、一般的人気では〝戻り売り〟気分が強くなった。特に大阪では阿波座筋が信念の売り方針で、ともかく買い方を叩き潰せという気迫がうかがえる。

買い方にすれば、もう一ツ精彩に欠ける。

先に行けば必ず高いことは判っていながら、環境が味方しない感じである。

しかし、先三本、今の水準からの下の値段を幾ら叩いてみても相場は崩れない。

北海道の相場が一万八千円をしているところを見ても産地に現物が少ない証拠になるし、目立たないが今までにかなりのものが全国各地に向けられて出荷している。

考えてみれば、定期での受け渡し用の現物は、きわめて限られた数量であって、市場があまりにも神経質になりすぎているきらいがあるから、その反動は必ず出るだろう。

今言えることは、相場は底値圏にあるということだ。

底値圏にある相場は黙って買っておけばよい。

買い方にしても、煽ろうとか、支えようとか、そういうことはしないで、成り行きにまかせておけば、売り方が、勝手に相場立ち直りの素地をつくってくれるのである。

相場の流れに身をゆだねていれば、まことに判りやすい動きである。

●編集部注
 往く川の流れは絶えずしてもとの水にあらず―。

 情に棹差せば流されるという言葉もある。

【昭和四六年十二月十日小豆五月限大阪三八〇円安/東京四七〇円安】