昭和の風林史(昭和四七年一月十日掲載分)

地獄の底まで 売り叩くのだ!!

S安がはいるだろう三千円大台は、簡単に割ってしまう。地獄の底まで売り叩け。恐慌相場だ。

「行く我れに戻る君あり寒稽古 虚子」

産地の定期相場が、大崩れしてくるだろうと思う。産地に品物が少なくても、崩れる時期がくれば一万五千円割れである。品物が欲しくて産地の相場を買っているわけではない。要は投機思惑である。従って、産地相場は内部要因により、ここからの千五百円下げは、キッカケ一ツである。

消費地相場も、在庫がたまった上に、輸入物がのしかかる。

しかも不需要期。滔々(とうとう)たる下げ基調だけに、売れる品物さえ売れない。先安見越しで買い控えるため、ますます売れ行きは悪くなる。

週末の相場は、なりふり構わずという悪さの表現で、一万三千円大台割れは時間の問題となった。

それにしても三晶の売りっぷりは見事である。腹の据わった〝売りあるのみ〟という態度は凄さを感じさせるのであった。思えば昨年の九月上旬、三晶は売り玉総踏みで完敗したがその時の踏みかたも鮮かというが、見るものをして〝綺麗な勝負をする〟と称賛したものである。

さて、相場は、戻り売りに変わりはない。

すでに一万四千円の攻防戦は終わった。ズルズルと買い方は地獄の底に引きずり込まれる。

買い方は、決断する時かもしれない。

筆者は思う。これが恐慌相場である―と。

一万三千円を割るのは時間の問題にすぎない。

一万五千円と六千円のあの大きな(肩下がりの)モミ合いを放れてきた以上、やはり一ツの相場である。

今週は、利食いにより小反発するかもしれないが、戻りはすかさず売られよう。

現在、目立つ買い建て玉のある東京の山大、山梨、太平洋。大阪の丸五、脇田。名古屋の米常。これらの店のどこかが投げきらないことには相場は止まらない。

相場とは非情なものである。騰げ相場の時もそうであった。売り大手が次々と〝憤死〟して、ようやく天井を打ったのである。

今は立場が逆になって大手買い方が、ぶん投げるまで、この相場、底が入らない。

実勢は、とみに悪化しつつある。そして需給相場である。

地獄の底まで売り方針一万二千三百円目標。

●編集部注

古人曰く「相場読むより日柄読め」というが、そのとり方は千差万別。値幅のと
り方にも、同じ事がいえる。
ここしばらくタテ(値幅)の話が続いているが、ヨコ(日柄)を見てみると、ど
うも21営業日周期で節目が来ている気がする。

【昭和四七年一月八日小豆六月限大阪四八〇円安/東京五九〇円安】