大勢基調不変 戻り一杯地点へ
取り組み関係で戻しているだけで、大勢基調は戻り売りに変わりない。戻すほどあとが悪くなる。
「詩仙堂凍てざるものに添水あり 非文」
空間窓をあけて買うほどの相場ではないが、相場は事実窓をあけて反騰している。その限りでは強いといえるが①下げすぎの反動②安値の売り込み③売りあき気分④値ごろ観⑤輸入材料の途切れ―という現象による反発で、相場の基調は依然として戻り売りである。
大阪市場では脇田が表面上、買い戦線から後退し、同店と関連のあると見られる松亀が目立つ買い方をしていた。脇田の投げかそれとも玉のつけ変えか。
山大・山梨は自粛の姿にはいっている。三晶も相手の弱味につけ込んで売り叩くというようなことはしないだろう。
大発会以来、その下げ方が急であったため、ある意味では真空状態のコースがある。いま、そのコースを逆に進行しているわけだが、下げる時も抵抗がなかっただけに、戻す時も抵抗が少ない。
問題は、どこで北京商談の口火が切られるか。それと台湾小豆の出かたである。
安値から千円、千二百円も戻せば、再び現物背景の売り物が出てくることは予測できる。
主力買い方陣営にしても、このぐらいの戻りでは、愁眉を開くところまではいかない。
高くなれば再び輸入を刺激することになる。
昔のように中共からだけ入るという時代なら俵読みも判りやすいが、台湾やコロンビアなどからも輸入される現在、供給不安による異常高は、瞬間的現象にすぎない。
北海道小豆も、定期相場の下げが急であったため、取り残された感じである。
当然、戻したとところは売ってくるだろう。
一月、二月は例年不需要期である。単に下げの反動と取組関係によるこの反発は、戻り一杯の屈折点から、勢いをつけて下げだすだろう。
戻り、戻りを売っていけば必ず暴落場面に直面する。
春の需要期に突入する前に、輸入材料で売られる時期があることを忘れてはなるまいし、天候相場までには、ほど遠い。
筆者は、ここで戻すほど、あとの下げが、きつく、そして深いものになると判断する。
戻り、戻りを売るのが最も判りやすい。
●編集部注
相場は意地悪である。買った途端に急落するのは日常茶飯事、売買の往復ビンタに泣く事も。
海外ではwhipsawとこの状況を表現する。直訳すると「のこぎりの刃」の事。
転じてジグザグと進む相場。
戻るであろう、と見ると戻らないのが相場でもである。
【昭和四七年一月十八日小豆六月限大阪一万三七九〇円・二七〇円高/東京一万三八二〇円・三二〇円高】