3月3日付 メリマンコラム 《回顧と展望》 その1
2014年1月1日に就任したばかりのニューヨーク市長ビル・デブラシオ氏は、自身が仕切る“ゴッサム・シティ”を ディケンズの『二都物語』 になぞらえて語るのが好きだ。
【註:映画『ダークナイトライジング』で登場する架空の街、ゴッサム・シティのロケ地はニューヨーク市。更にこの作品は、フランス革命期のロンドンとパリ、貧富、貴賎の二項対比が描かれる『二都物語』の作品世界に着想を得て脚本が書かれている】
先週の世界の株式市場の値動きは、さながら『二都物語』のような様相を呈していたといえる。幾つかの市場はゴリゴリの強気。S&P500などがその好例。先週のS&Pは史上最高値を再更新。ナスダックさえも14年ぶりの高値水準となった。しかし、他の多くの市場は、金星が順行に転じてまもない2月3日〜5日に安値をつけて以降、反騰は継続しているも“新高値更新”とまでには至っていない。たとえばNYダウ2月28日(金曜日)に16,400を試したが、13年12月31日の史上最高値16,588には遠く及ばず、少し戻して16,321で週の取引を終えた。
ヨーロッパでは、DAX(独)、SMI(スイス)、そしてFTSE(英)が軒並みこぞって史上最高値更新を勇猛果敢に企てたが、失敗に終わった。AEX(蘭)は目立って弱さをみせた。先週は一貫して下げ続け、1月15日に達した数年ぶりの高値408.93のはるか下に留まっている。
しかしロシア、中国、そしてブラジルでは話は全く違っていた。どこもそれぞれに下落し、数ヶ月ぶりの安値を試していたのだ。