なんとも重い だが抜刀隊警戒
下げがきつくなると抜刀隊でくるだろうし爆弾三勇士も出てくる。しかし相場の大勢は下降期だ。
「鴬や薬を秤るものしづか 静塔」
旧正月が明けるのを待つ格好で、果たして〝突然の商談〟に中国側は、小豆を、どれだけ売ってくるか。現在集計されている分では、およそ三千五百㌧ないし五千㌧というところである。
中国は、やはり豊作だった。それが今回の北京商談で確認された。そして四月15日からの春の交易会で東北(旧満州)ものが、かなり出てくるだろうという予想だ。東北ものの積み出しが後にまわされるのは雪解けを待つためだともいわれる。
目下のところ18日以後の契約量が関心の的である。日本の相場が崩れるようなら数量を調節するだろうが、だいたい全部で八千㌧程度になりそうだという見方をされている。
小豆の買い方は現在十二万俵の現物を缶詰めにしている。これが倉敷料などを考えると大きな出費で一日過ぎれは一日それだけコストが高くなる。〝なあに二十万俵まで抱き込んでしまえば―〟と豪語しているそうだが、過去に買い占めで成功した仕手はいないから中国相手の買い占めはそのうち夜ごと夜ごと赤い国の赤い豆に毛がはえ手や足が出て、首を締められる悪夢にうなされるだろう。
買い連合側は、あくまで買い方針を貫くそうである。一万八千円近くまで持って行って逃げたいのだ。
四千円棒立ち反騰で、その道中、かなり〝場勘〟は吸い上げた。五千円の玉はさすが綺麗に利食いしたようだ。
しかし、北海道定期は上げ幅の半値を早や消している。北海道先限は、逆立ちしても八千円は大関門であることを再度知らしめたのである。
この相場、買い連合は幾度も逆襲してくるはずだ。
いずれまた爆弾三勇士である。廟行鎮の敵の陣われの友隊すでに攻む、折から凍るきらさぎの二十二日の午前五時―。
子供のころグリコの商品の肉弾三勇士の文鎮を大切にしていたものだ。
江下、北川、作江の三勇士が電信柱のような爆薬を抱いて突進している文鎮である。今の穀取市場は抜刀隊やら特攻隊やら肉弾三勇士やら、いとも、ぶっそうである。だが趨勢は下降線上にある小豆の相場と見る。
●編集部注
この時、悪夢のような急落から一段落。これからは買い方の反撃があると見たのだろう。
しかし、この買い行動を、風林火山は冷静に特攻の類に例えている。
相場で初志貫徹の姿勢を保つ事の出来る人は強い人。これだけ動けば、一度は反動があるだろうと、つい思惑と逆を張ってしまう事がある。
一時的な戦果はあろうが、この手の勝負は大抵長続きしないものである。
【昭和四七年二月十六日小豆七月限大阪一四〇円高/東京二五〇円高】