3月31日付 メリマンコラム 《回顧と展望》 その1
前回のコラムから2週間が経過。世界の株式市場はその殆どが上昇したものの、それは苦闘を伴っていた。実際、“苦闘(struggle)” という言葉は、金融界のトップや政治指導者達のそれと同様に、昨今の市場に参加する投資家心理を適切に言い表している。この、木星・天王星・冥王星からなるT字スクエアは、まるで人類にとっての “ヘラクレスの挑戦” のようであり、「あらゆる恐怖の宇宙的総和」とでも言うべき時期に見える。時節的には春の到来だが、今は決して “チューリップ畑をつま先で♪” と浮かれる時ではない。この春は、 “金づちを探し回る釘” として到来したのだ。
ヨーロッパでは、3週間にわたる急落が3月14日に終わり、AEX(蘭)、DAX(独)、SMI(スイス)ではそこそこの反騰が始まって先週いっぱい続いた。しかしながら、FTSE(英)はずっと弱々しく、そして事実上3月30日まで下落が止まる事は無かった。そして4株価指数全てが、2カ月前につけた数年ぶりの高値から見ればはるかに下方に位置している。
極東及び環太平洋地域では、株式市場のパフォーマンスに非常にムラがあった。センセックス(インド)が先週、史上新高値まで舞い上がった。だが中国と香港では3月14日及び21日の週にわたって下がり続け、昨年7月以来の最安値水準まで落ち込んだ。これらは先週もそれほど回復しなかった。日経平均株価はここ2週間ばかり、下値14,000円に引っかかってバタバタとしていた。これは重要な兆候で、14,000を割りこむようであれば、ここ2年ぶりとなる弱気チャート・パターンが示現する事になる。私達はこの領域を非常に注意深く観察する必要がある。何故なら、もし日本が下落し始めたら、世界中にドミノ効果を及ぼす可能性があるからだ。
そしてもちろん、MICEX(ロシア)はパニックで終わっている。ロシアのクリミア併合を受けて世界各国がこの “巨大な熊” に対する経済制裁を与え始めるにつれ、MICEXは2月18日につけた1518の高値から3月14日には1182まで下落、これは20%以上の損失となった。この2週間で相場は1324まで回復したが、それでも新たな強気相場のスタートというよりは修正高のように見える。これは、ロシアの金融市場に今後より多くの痛みが襲うことを暗示している。私達の読者であり友人であるロシアの皆さんにお伝えしたい。この、市場がそこそこ反騰している期間に、自分の資産保護に踏み出した方がいいだろう。何故なら、もしこの先4月に最も厳しい逆風が吹きつけるとすれば、もう一度気絶することになるからだ。