昭和の風林史(昭和四七年四月三日掲載分)

萬円割れ時代 新ポはその兆し

自律反騰が終わって実勢悪相場に戻った。当面一万五百円。それから万円割れの崩れにつながる。

「﨟たけて紅の菓子あり弥生尽 秋桜子」

小豆相場は大きな空間窓を埋めに行こうとして埋めきれずに新ポから反落した。この期におよんで手亡がストップ安とは恐れ入る。

これで相場は大暴落による自律反騰を終わって再び下値を洗いに行くことになる。

週末の大阪小豆四限、五限はきれいな暴落線。六限、七限の線型は明らかに千円割れを示し、そのまま週明け月曜の崩れにつながるだろう。

筆者の線型では、八月限(大阪)で一万五百円あたり。もう千丁幅の下げが読める。ちょうど三月6日から13日にかけての不吉な予感。当時三千七百円から三千円までの低落。あの時と全く相場地合いは同じである。

そして、その後に三月18日(19・20日と連休)、21→22→23日の失神相場に突っ込んでいく。

当時と比較すると値ごろも低くなっているし、超高値の買い玉も投げ終わっていて、事情は異なるけれど、五日の在庫発表が消費地30万俵を、あらたに認識させれば〝万円割れ〟の時代に四月新ポからの崩れが、直結しないとも限るまい。

手亡が音もなく崩れ落ちた。それは慄然とするものである。

小豆が三分の一戻しに終わって、全く無気力に垂れさがった、この地合いから判断すれば三月23日の安値を切る場面を考えなければなるまい。

千円棒を立てて、強気してみたが、あまりにも強気が急増した。相場は買ったら上がらないものである。

さらにこれからしばらくは、交易会恐怖症が続く。むこうには売るべきものがある。値段を下げてくれば、もとより定期はS安である。

現物が需要期入りでよく売れた。それが30日までの反発材料である。売れて当然の時期だし、相場が強張れば買い急ぐのが人情である。

定期が軟化すれば、買いの手は、引っ込んで当用買いになる。

恐らく今の水準から下の値段は、新規に売りにくいことであろう。それを高値おぼえという。

天災期限月であるという事が買い方の支柱である。しかしそういうものは実にたわいのないものであることを知ろう。

相場は大下げ後の下げという無常の場面に向かう。

●編集部注
あはれ、相場はマドを埋める事能わず。さすれば、残りし路は下げ街道のみ。故に売るべし。

過ちては則ち改むるに憚ること勿れ―。相場師の鉄則といえよう。

ただ、相場は意地悪だ。一万円割れを予想するとなかなか割れないもの。

逆に、割れないと予測すると割れてしまう。

【昭和四七年四月一日小豆九月限大阪一万一七〇〇円/東京一万一七四〇円】