昭和の風林史(昭和四七年四月二十四日掲載分)

不吉な予感が さらに大暴落の

下げっぱなしのあと横這いという相場が怖いのだ。業者も取引所も悲鳴をあげるわけだ。

「春日野や夕づけるみな花馬酔木 草城」

平家滅亡のとき、入水された安徳天皇の霊を祀って、きょうは下関は赤間宮で祭礼が行われる。連綿七百年も続くお祭りである。

風出でて先帝祭の飾かな(竹舟)。関門商品取引所は赤間宮に近い。市内稲荷町から女﨟、官女の装いで遊女が参拝する古式もあったそうだ。さぞにぎやかなことであろう。

小豆相場のほうは成り行き状況待ちである。

今週あたり、はっきりした数量と値段が判明するだろう。それによって相場が高ければ絶好の売り場になる。

納会は台湾産に韓国産が渡しきりにされよう。大量手持ち筋は今月と来月で、すべて渡す方針である。

見ていると、大衆筋は依然として買い気が強い。ここから弱気しにくいのである。そして、一万二千円台、一万一千円台を掴んだ因果玉に未練が残っている。ナンピン買い下がるつもりのようだ。

筆者は、結局先限の九千五百円相場を見るもので、全限一万円を割らないことには大底は構成されないと思う。

週間棒は、上影の中に前の週の大陰線が、きっちりはまって、完全な戻り売りの重たい姿。

ともかくストップ高をして、次の日上寄って、ストップ安という動きは、一万一千円の水準は、もうおわかれですという、判然とした意思の表示にほかならない。

交易会の商談については、相場を見る限りそれが、はっきりと物語っているように思え、あるいは今週にもストップ安が入るのではないかと不吉な予感さえする。

一部には、線型から底値圏と判断する人もある。あと、どんなに悪くても五、七百円の下値を見ておけば―という買い下がりの方針である。

しかし、買い下がって、相場が出直るならば、強気一貫でも楽しめようが、下げっぱなしで、あと横這いということもある。

下げたあと無相場。これが怖い。一カ月も、二カ月も横に這う。昔は三カ月も半年も横這いで業者も取引所も悲鳴をあげたものである。

相場の金言に、天井三日、底百日。この底百日が買い方にとって断腸の思いなのである。下げっぱなしになる相場のように思えてならない。

●編集部注
今後〝下げたあと無相場。これが怖い〟と予言した通りの相場になる。

ポジションを持つと、たとえ勝っていても疲れが溜まる。負けていればなお溜まる。のたくり相場ではお財布より先にプレーヤーの心がやられる。

休むも相場とは名言也。

【昭和四七年四月二十二日小豆九月限大阪八〇円安/東京一八〇円安】