昭和の風林史(昭和四七年五月一日掲載分)

売り方針不変 戻すほど悪化す

メーデー万歳、売り方万歳、買い方汝の因果玉放棄せよと赤旗がウズを巻く。売り一貫。

「薫風や鯵刺宙に羽をとどめ 秋桜子」

小豆の値段は、居心地がよさそうである。

中国は小豆の買いオファーに無回答だという。なにか、こじれた問題があるようにも思う。

足もとを見た―という感情的なものもあるだろう。売らなくてよいのですよ―という態度が感じられる。『いや、そう、おっしゃらずにお願いします』というしかないだろう。

ここに来て市場の人気はどうなのか。市場の人気は、その場、その場で変化している。総体に弱気が支配しているようにも思える。弱気筋は相場の戻るのを待っている。

先限の七百円あたりがあれば〝絶好〟の売り場と見ている。

いずれは九千五百円以下の相場になる。目先の交易会の成り行きも、落ち着くところに落ち着くだろう。高ければ売り上がればよい。

強気する側の人たちにすれば、交易会のこじれが、連休のあいだ一ツの楽しみである(これは売り方にも言えることだが)。それと一万円割れは、居すわる木なら反発場面もあるから買い下がればよいという安心感がある。しかも天災期に接近する。

弱気は、仮りに天災期に(天候に関する)材料が出現しても、今年は売り上がってさえいけば、まず心配がないという雑豆の自由化、輸入品の圧迫という供給面を読んでいる。

どちらに分があるかこれが相場の妙味である。

きょう五月の新ポ、すでに立夏。明日が八十八夜。

街には労働歌と赤旗がウズを巻く。

29、30日と連休して、きょう、あすと出勤して、3日、5日と飛び休んで今週は仕事のほうも調子が乗らない。相場のほうもリズムが狂う。在庫発表、十月限に対する取り組み模様などを眺め、相場になるのは五月第二週の8日からではなかろうか。

であるから、ここのところは戻してくれるほうが楽しみが残る。売り方針は不変であるから、少しでも盛(も)りのよいところを売るのである。

それが仮りに交易会の契約が二、三千㌧に終わろうと、ストップ高で買われようと、値が高くなれば北京商談の場もあるし、上値には逃げたい因果玉が鈴なりで、内部要因が悪い。いずれそのうち〝梅雨〟期であるし、高くても怖くない相場というところだ。

●編集部注
 黄金週間前夜の記事だ。

 連休明け相場は高くなる事が多いが、戻り売り方針故か待ち構えている感が行間に溢れている。

【昭和四七年四月二十八日小豆9月限大阪一万〇四五〇円・一三〇円安/東京一〇四五〇円・六〇円安】