反発は大歓迎 高いうちに売れ
阿波座連隊が暁の逆襲をかけたような新ポの相場である。しかし相場に力がない。売り方針不変。
「芍薬にはねたる泥のかはきゐる 風生」
中国側は〝超友好商社〟にのみ七百㌧の成約に応じたと連休明け伝えられた。友好商社と超友好商社とは、どう違うのか、われわれには理解しにくい。
それにしても、売り応じないとか、窓口を閉じたとか、非友好的だとか、政治がからむだけに難かしい。それでいて結構商売をしているのであるから中国という国は、たいしたものだ。
たかが小豆の商売でさえこれである。日本の政治かも財界人も商社も、大変なことであろうと思う。
メーデーの五月新ポは急騰した。繰り上げ発券(上期雑豆)が見送られそうなこと、交易会の商談難航―が材料になったようだ。
やや、売り安心傾向にあっただけに、反発は予想されていた。
四月25日の安値から千円戻し。
再び、申し分ない売り場をつくったように思う。仮りに交易会で成約数量が少なくとも、値段が高ければ売ってこよう。むこうには〝売るべき品物〟があるのだ。
おそらく〝超友好的〟というのは、値切らずに買うことを指すのではないか。三晶は値切った。非友好的である。三晶は投機行為である。投機行為は中国では死刑にあたいする。きっと、そういうところかもしれない。それで、三晶が手当て出来なければ踏んでくるだろうというので定期市場は高騰した。しかし三晶はこの日も定期を売っている。
しかし、四月末消費地在庫37~38万俵。五月末は40万俵台の在庫になろうという時だ。
相場は出直れる性格のものでない。取り組みは、やや売り込んではいるけれど本質的には下長(買い長)である。
もうしばらくすると産地の相場が記入される。目下のところ産地の気温は高目を推移している。
そして作付け面積六万ヘクタールという大幅増反。府県産小豆も増反。
そして連休、節句が終わると不需要期→梅雨→輸入物入荷シーズンとなる。
ともかく相場は高いところ、たとえば新ポの前場二節のようなところを〝まってました〟とばかり売っておけば、大幅(といっても五、七千丁)の利が食えるものである。
売り方は、相場が高くなることを歓迎する。それは盛(も)りのよいところを売ることが出来るからである。
●編集部註
田中角栄が佐藤派から独立したのがこの時期。
翌六月に「日本列島改造論」が出版され、七月には内閣総理大臣に就任。
九月には日中国交正常化を実現。中華民国との国交が断絶した。
【昭和四七年五月一日小豆十月限大阪一万〇七七〇円/東京一万〇八五〇円】