6月16日付 メリマンコラム 《長期見通し》 その1
現在、論じたいと思う新たな出来事が非常に多く起きている ー インドの新首相ナレンドラ・モディの選出、ハイフリークエンシー・トレーディング(HFT:コンピュータによる高速売買)の問題、米国政府とタリバンとで交わされた5対1の捕虜交換問題(部隊からの脱走兵の疑惑がもたれている米国陸軍軍曹1人と5人のタリバン幹部との交換)…等々、わずか3件を挙げたとしてもこんな具合だ。
ナレンドラ・モディの選出は、インドの政治に重要なシフトが起きていることを示唆するもので、おそらくこれは、2008年の米国においてバラク・オバマが初のアフリカ系米国人大統領として選ばれた事と同等の状況だろう。オバマはその年の民主党予備選で高い集票能力を誇るクリントン陣営を打ち負かしただけでなく、その後、政権の座にあった共和党を追い落としたのだ。
モディにまつわる話はオバマと同様に魅惑的だ。ジェレミー・カールの2014年5月22日付CNNの記事によると、“インドの保守政党でありビジネス促進派の人民党(Bharatiya Janata Party/BJP)を率い、デリーやムンバイに住むセレブやエリート達からは忌み嫌われる男ナレンドラ・モディは、総選挙において彼の政党をここ30年で最高の結果に導いた”との事。
ここに “ポスト・カーディナル・クライマックスにおける世界政治上の真の希望” が新たに出現した。これは2008年以来の世界が向かう筈だった状況だ。あるいは少なくとも、このような事が2008年〜2015年のいずれかの時期に起きる筈で、その絶好の機会といえば、火星が順行に転じた直後で木星が土星に対する最後のトラインを形成するまさに1〜3日前、そして、4月20日〜22日のグレート・カーディナル・クロス形成から正確に1太陰周期(新月・満月のサイクル)を過ぎた時期をおいて他にない。
ここには人為的に意図された主張ではなく、大いなる宇宙によって約束された “希望と変化” が見て取れる。
これは大きい。これが2008年の米国大統領選でバラク・オバマが選ばれたことよりもっと大きな意味を持っているかどうかは私にはわからない。何故なら、オバマの約束はいまだに果たされるのを待っている状況で ー しかもその成就からは日増しに遠のき、メッキが剥がれ落ちてきているように見えるからだ。だが今モディが現れ、何か新しく新鮮な事を約束している。さて、この選挙結果がどれほどインドにとって(そして私が思うに、まもなく世界にとっても)歴史的なことであるかを理解するために、少し説明しよう。私がまだウォールストリートで働いていた時分、そしてその後も、インドは米国と中国を追い越し、2030年までに世界第一の経済大国になるだろうと長きにわたって予測されてきた(私が知る限りでは今もそう目されている)。